スペースXのファルコン9の打ち上げ料金は、現時点で7400万ドル(約118億4000万円、1ドル160円換算)とされる。であれば、H3の打ち上げペースが今後加速されることで、日本も価格的には十分に対抗できる水準に達する。円安も追い風となり、アジア太平洋地域の衛星オペレーターにとってもH3は魅力的な選択肢となるはずだ。
H3に課せられた課題
ただし、H3ロケットには課題も残る。6号機の第1段に搭載されたメインエンジンは、LE-9の「タイプ2」ではなく、従来仕様の「タイプ1A」だった。JAXAの当初の計画では2号機以降からタイプ2を投入する予定だったが、開発中にターボポンプの共振問題に直面したため、これまでのフライトでは暫定的な改良を施したタイプ1Aなどが使用されている。
タイプ2では、共振の原因となったタービンディスクや翼の設計そのものが根本から見直され、振動が完全に抑制された恒久対策仕様のターボポンプに刷新される。また、噴射器(インジェクタ)も従来の削り出しから3Dプリンターによるものになり、部品点数と製造コストの削減が促進される予定だ。タイプ2の認定燃焼試験は現在も進行中だが、予定通り進めば2026年後半の完成が見込まれる。今後タイプ2が実運用されれば、H3ロケットのさらなる打ち上げ精度の向上がもたらされるだろう。
8号機の失敗によってH3のスケジュールは逼迫した状態にあり、「みちびき7号機」(準天頂衛星)、「HTV-X2」(ISS補給機2号機)、「MMX」(火星探査機)、「SDA」(宇宙領域把握衛星)、「IGS」(情報収集衛星)、「ETS-9」(技術試験衛星9号機)など、多くのペイロードが打ち上げを控えている。今後の予定はまだ公表されていないが、これらが短いスパンで打ち上げられ、H3の運用が本格化すれば、H3は世界の打ち上げ市場においてより存在感を高めることになる。


