市場を支配している最大の要因はやはりインフレ
しかし、サクデン・フィナンシャルのアナリストらは12日、依然として金と銀の「下値は堅くない」との見方を示した。ドル高が貴金属価格の重しになっていることに加え、市場が「連邦準備制度理事会(FRB)の発言と中東をめぐるニュースの双方に対してきわめて敏感」なままであるためだという。
12日には値を戻したものの、金価格は週ベースで7%の下落となる見通しであり、これが実現すれば2週連続での下落になるとWSJは報じている。今週、貴金属相場は数カ月ぶりの安値圏に沈み、金価格は11日に6カ月ぶりの安値を記録した。アナリストの多くは、この下落の背景にFRBによる追加利上げ観測(一般的に貴金属価格の下落を招く要因)があるとみている。クオンティティ・コモディティ・リサーチのアナリストであるペーター・フェルティヒは12日、ロイター通信に対し、「金価格は米国大統領の発言に連動して動いているが、市場を支配している最大の要因はやはりインフレだ。市場は欧州中央銀行による利上げを想定しており、FRBもそれに追随すると見込んでいる」と語った。
FRBの動向に注目集まる
FRBが実際に利上げに踏み切るかどうかに市場の注目は集まる。FRBは来週、トランプが指名したケビン・ウォーシュを新議長に迎えて初の連邦公開市場委員会(FOMC)を開催する。トランプからの利下げ圧力はあるものの、現在のインフレの状況を考慮すると、FRBが来週の会合で金利を据え置く可能性は極めて高いとの見方が強い。ただし、年後半に利上げに踏み切るシナリオは残されている。
金と銀の価格は前年同期比では依然としてプラス圏を維持しているが、1月に記録した過去最高値からはほど遠い水準まで下落している。1月当時には歴史的な高騰のピークを記録しており、金価格は5600ドル付近を推移し、銀価格は120ドルを突破していた。これらの高値は、低金利やトランプ政権による関税政策、国際情勢における緊張の高まり、およびテクノロジー業界による貴金属需要の拡大が数カ月にわたって積み重なった結果だった。しかし、トランプがFRB議長にウォーシュを指名したことで貴金属価格は急落した。ウォーシュが利下げを断行する可能性が高いと見なされていたためだ。その後もイラン紛争を通じて原油価格が急騰する一方、貴金属価格は下落基調をたどってきた。


