前提は好奇心をどう妨げ、対立を増やすのか
ここで扱う心理的要因の中でも、思い込みは職場の関係に最大の影響を及ぼす可能性がある。私の好奇心に関する研究では、前提が学習、イノベーション、協働に対する最も強い障壁の1つとして一貫して浮かび上がる。
前提は「理解している」という錯覚を生む。いったん「なぜその人がそう振る舞うのか」を自分はすでに知っていると人が思い込むと、質問をやめ、情報収集をやめ、別の説明を探ることもやめてしまう。
組織で私が目にする前提には、例えば、上司が「部下にやる気がない」と決めつける、社員が「経営層は現場の懸念を気にしていない」と思い込む、ある部門が「別のチームは変化に抵抗している」と見なす、といったものがある。こうした前提は、裏づけとなる証拠がほとんどない場合でも、次第に事実として受け入れられていく。
好奇心はこのプロセスを中断させる。質問は、結論に達する前に情報を集めることを促す。好奇心を保てる社員は、自分の見方を疑い、追加の視点を求め、状況の捉え方を変える情報を見いだしやすい。好奇心は対立をなくすものではないが、誤解がより大きな問題へとエスカレートするのを防ぐことが多い。
こうした心理的要因による対立を避けるために、リーダーは何ができるのか
職場の対立の多くは、最初の意見の対立が起きるずっと前から始まっている。全体像がないまま、前提を置き、結論を下し、他者についての物語をつくってしまうときに始まるのだ。社会的アイデンティティ、確証バイアス、帰属の誤り、内集団バイアス、そして前提は、社員が日々のやり取りをどう解釈するかに影響を与えるが、本人がそれに気づいていないことも多い。前提は理解の錯覚を生む。だからこそ、好奇心は職場の関係を改善する上で強力な道具になり得る。
判断の前に質問すること、非難を割り当てる前に理解を求めること、自分自身の見方に挑戦する視点にも開かれていること。そうした姿勢を人々に促すリーダーは、より強い文化と生産性の高いチームをつくる。その変化は協働を改善し、関係を強化し、組織のパフォーマンスを制約する不要な対立の多くを減らす助けとなる。


