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ファッション

2026.06.25 10:15

ダミアーニのCEOが問う 「真の家族経営」の強みと未来

新作の発表、時計メゾンの買収と、大きな話題が続くイタリアのジュエラー、ダミアーニ。
創業ファミリーの存在こそがラグジュアリーの根源だとCEOが語る、そのわけは。


世界最大級の高級時計のトレードショー「ウォッチズ・アンド・ワンダーズ・ジュネーブ」の開催と同時期に、ジュネーブ市内のホテルでは「オート・ジュエルズ」と銘打ったジュエリーの祭典が繰り広げられていた。その会場内で最も大きく、華やかなブースを構えていたのがダミアーニだ。

俳優ソフィア・ローレンにも愛された老舗ジュエラーを率いるのは、ジェローム・ファヴィエCEO。3月の決算でダミアーニ・グループは売上高4億ユーロを超え、市場全体のトレンドを上回る成長を達成したという。地政学リスクが高まり、素材の高騰も問題となるなか、ダミアーニはどのように右肩上がりをキープしてきたのか。

「昨今の世界情勢のために特別なリスク対策をとっているわけではありません。世界が不安定で予測不可能なとき、人々はより本物志向になり、本質的で安心できる物事を求めるものです。私たちはそうしたオーセンティックなものを、心を込めて提供しているだけ。そして現在、ほかのメガブランドが抱えているのは、世界情勢の不安定さに起因する問題ではないのです」

巨大化することに背を向けて

ダミアーニに招かれる以前から高級時計やジュエリーの世界で長らく経験を積んできたファヴィエは、現在のラグジュアリービジネスのあり方に一家言もつ。

「メガブランドは恐竜のように大きくなりすぎた。ブティックはそそり立つ城のようで、シーズンごとに大量の品々を市場に投入し、コミュニケーションが行きすぎて商品の情報がそこら中にあふれかえっています。彼らはラグジュアリー産業と呼ばれていますが、私の考えでは、ラグジュアリーと産業はまったく別のもの。真のラグジュアリーは産業ではないし、普及しすぎてコモディティ化してはいけないのです。その点、ダミアーニはラッキーといえるかもしれません。トップから末端が見えないほど肥大したわけではありませんしね」

ダミアーニの歴史は1924年、エンリコ・グラッシ・ダミアーニが創業した工房から始まる。金細工の街として知られるヴァレンツァに根差し、宝石の調達からデザイン、製造、販売までを一貫して行うジュエラーに成長。現在はエンリコの孫グィド・グラッシ・ダミアーニがダミアーニ・グループ代表取締役社長となり、姉シルヴィア、弟ジョルジョがダミアーニ・グループ副社長としてビジネスの中核をになう。

「創業から100年余。時が築いたヘリテージが、私たちにはあります。そして何より、ダミアーニ家の血脈に連なる人々がいます。これは1920年代から30年代のビジネススタイルに立ち返るものです。かつてブランドには必ず創業家のオーナーがいて、顧客はそのブランドの名をもつオーナーに会うことができたのです。実際、ダミアーニはダミアーニ一族に会えるから安心できるのだと顧客からいわれたことがあります。それに、私たちのようなファミリービジネスのブランドには、自由さ、起業家精神、情熱がみなぎっています。これこそがダミアーニの成長力の源泉なのです」

最新作はフラワーモチーフのジュエリーや、小柄なアジアの女性でもつけやすい、ほっそりとしたウォッチ。ダミアーニはアジアを重要なマーケットとみなし、日本には1980年に本格上陸。近年はソウルにも旗艦店を出すなどして力を注ぐ。

「以前、日本の蒔絵をほどこした万年筆のデリケートな美しさに心打たれたことがあります。日本市場は大きなポテンシャルを秘めています。蒔絵のような繊細な美を日常づかいしてきた日本人だからこそ、毎日の装いを彩るダミアーニのジュエリーのスタイルを完全に理解していただけるのです。これほど洗練された審美眼をもつ国は、そう多くはないと思いますよ」

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direction by Akira Shimada/ text by Keiko Homma

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