サイエンス

2026.06.18 18:00

水に浸した指がしわしわになるのは「ふやけた」からではない

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水泳などで、長く水に浸かっていた指先は、しわしわになる。これは、あまりに長いあいだ、当たり前のように目にしてきたがゆえに、誰も真剣に疑問には思わないような、奇妙な生物学的現象の一つだ。

一般に受け入れられている説明は、「指先の皮膚が、受動的に水を吸って膨らむ(ふやける)から」というもので、これは21世紀初頭まで根強い定説となってきた。だが、これが定説になったのは、十分な根拠があるからではない。むしろ、厳密に検証されたことがほとんどなかったからだ。

研究者がついに検証してみたところ、この定説よりはるかに興味深い3つの事実が判明した。1つ目は、この現象が神経による能動的な反射反応であり、進化に適応した形態的特徴を持つこと。2つ目は、指先のしわには、特定の環境条件下で発揮される、測定可能な機能的メリットがある点。そして3つ目は、ほぼ偶然に見つかった、臨床医学における有用性があるということだ。これらについて、順に説明していこう。

指先のしわの物語は、1930年代に確認されていたがこれまで見過ごされてきた、神経系に関する観察結果から始まる。そこから、交感神経系を経て、はるか昔の我々の祖先が生きていた時代の「水際」へと導かれていく──人間の進化生物学に関する疑問でよくあるように。

「水に浸かった指先」に起きること

水の浸透を理由にする説(指の皮膚が、水を吸収して膨らみ、しわになるという説)は直感的に正しそうに思えるため、21世紀初頭まで、特に疑問に思われることなく通説とされてきた。だが、この説は誤りだった。

2016年に発表された生体力学モデル的な研究によって、指先の皮膚が受動的に水を吸収してふやけることにより、現実に観察されているほどのしわのパターンが生まれるには、指先の皮膚が通常の体積から、少なくとも20%は膨らむ必要があることが判明した。しかしご存知の通り、実際にはそうなってはいない。

ただし、長く信じられてきたこの定説を、より直感に訴える形で葬り去ったのは、発見当時はほぼ見過ごされていた、1930年代の観察結果だった。それは、指の末梢神経が切断されている患者の場合、指先を水に浸けてもしわにならなかった、という報告だ。こうした患者の指の皮膚は、どれだけ長いあいだ水に浸けても、滑らかな状態を保っていた。

これは奇妙な現象だったが、何十年にもわたり、ふさわしい評価を得ることなく見過ごされてきた。しかし、研究者によってついにその意味が評価されることになった。神経に損傷があるとしわができないのであれば、神経系はこの現象において傍観者ではない。むしろ、この現象を引き起こすメカニズムということになる。

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翻訳=長谷睦/ガリレオ

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