マーケティング戦略エージェンシールグラン創業共同CEOの泉浩人氏は、ビッグデータを活用したAKB48選抜総選挙予測で注目を浴びるなどしたデジタルマーケティングのプロだ。本稿は泉氏による寄稿である。
昨今、「ググる」と表示される「AIによる概要」で、ほしい情報のおおよそがわかってしまう(わかった気になってしまう)ようになり、いわゆる「ゼロクリック検索」の時代がやってきたといわれる。だが、トラフィックの減少は本当に「AIによる概要」のせいなのか? われわれはいったい今、「SEO(サーチエンジン・オプティマイゼーション:検索エンジン最適化)」をどう考えたらよいのか?
ググると出る「AIによる概要」でゼロクリック検索急増、『SEO瀕死』は真実か? に続き、泉氏が考える。
それでも議論は続く
ゼロクリック検索について
これまで、検索エンジンは検索結果に表示するためのタイトルや見出し(スニペット)をサイトから「借りる」代わりに、クリックという形でトラフィックをサイトへ返してきた。ニュースサイトの運営者などからは、自社コンテンツのタダ乗りであるといった不満が出され、一部の国や地域においては、Googleがサイト運営者に対して一定の対価を支払うといったことも行われてはきたが、基本的にはトラフィックの供給という見返りがあることによって、基本的に両者は「共存」できてきたと言えるだろう。
一方、AI Overviewなど生成AIの登場により、この相互依存関係は崩れつつある。AIの回答だけで用が足りたと考える検索ユーザーは、検索結果をクリックせず、サイトにも訪問しないというケースが増えている。サイト運営者にしてみると、AI事業者にコンテンツだけを利用されて、見返りとなるトラフィックは戻ってこない。こうした状況について、サイト運営者がGoogleを始めとするAIサービス事業者に対して一定の対価を求める動きも出始めている。また、2026年6月3日には、イギリスにおいて、GoogleのAI検索機能に自社コンテンツが利用されることを拒否できるようにすることを求める新たな規制が発表され、今後、Googleはサイト運営者からの申し立てに対応できる仕組を構築することが求められる。
一方、こうしたゼロクリック検索の増加に対して、今後はトラフィックよりも認知の獲得が重要になる、あるいはAI Overviewを読んでからリンクをクリックしてサイトに来訪するユーザーは、通常の検索結果からの来訪者に比べて商品やサービスの購入意向が高いといった説明と共に、AI Overviewなどへの掲載・引用状況をモニタリングするツールや、掲載・引用の確率を高めるためのサービスも誕生している。もちろん、こうした説明が必ずしも間違いとは言えないが、AI Overviewに掲載・引用されることの意味や効果については、まだ評価が固まっていない部分も多く、マーケター自らがしっかりとその意味や効果を検証することも重要である。



