米国時間6月10日に発表された政府統計によると、5月の消費者物価指数(CPI)の年間上昇率は3年ぶりの高水準に達した。中東での紛争が泥沼化する中、原油価格の急騰が再び物価全体の押し上げ要因となった。
労働統計局(BLS)の発表によると、5月のCPIは前年同月比で4.2%の上昇、前月比では0.5%の上昇となった。これはファクトセットがまとめた市場予想と一致する内容だった。
インフレ率の年間上昇率が4%の大台を超えたのは2023年5月以来で初めてのことであり、2023年4月に記録した4.9%に次ぐ3年ぶりの高水準を記録した。
変動の激しいエネルギーと食品を除いたコアCPIは前年同月比で2.9%上昇し、こちらも市場予想通りの結果となった。なお、前月比では0.2%の上昇にとどまり、市場予想の0.3%上昇をやや下回った。
エネルギー価格の動きをまとめたエネルギー指数は、5月に3.9%上昇し、全体の物価上昇分の60%以上を占めた。特にガソリン価格は前月比で7%、前年同月比では約59%もの上昇となった。これはBLSが調査対象とする全項目の中で最大の上げ幅である。
ケビン・ウォーシュ新議長のもと、連邦公開市場委員会(FOMC)が開催
来週、米国では連邦公開市場委員会(FOMC)が開催され、ケビン・ウォーシュ新議長のもとで初めての政策金利の舵取りが行われる。
連邦準備制度理事会(FRB)の理事らは、ウォーシュが就任する前から金利を据え置く構えをみせていた。FOMCが発表した4月会合の議事要旨によると、出席した理事の大半が、インフレ率がFRBの掲げる2%の目標値未満に低下するまでには想定以上に時間がかかる可能性があるとの認識を示していた。
さらに、市場予想を大きく上回った5月の雇用統計(非農業部門雇用者数は、市場予想の10万5000人増を大きく上回る17万2000人増を記録)により、FRBが年内に利上げに踏み切ることはほぼ確実視されている。CMEグループのFedWatchツールでは、12月会合での利上げの確率は66.1%とされている。
中東情勢、原油高を通じて物価を圧迫
2月下旬にイラン紛争が勃発して以来、原油やガソリン価格の急騰が消費者物価を圧迫し続けている。ミシガン大学が発表した消費者態度指数によると、米国民の経済に対する見方は5月に過去最低の水準にまで落ち込んだ。同指数の調査責任者を務めるジョアン・スーは、「(消費者は)ガソリンスタンドでの価格急騰をはじめとする度重なるコスト圧力に翻弄され続けている」と指摘する。スーによると、原油の供給難が完全に解消され、エネルギー価格が下落しない限り、中東情勢に多少のポジティブな動きがあったとしても、消費者の冷え切ったマインドがすぐに好転する可能性は低いという。
そんな中、ドナルド・トランプ大統領は10日、和平交渉をめぐり「(イランは)口先だけで行動が伴わない」と述べ、「代償を払うことになる」とも付け加えた。この新たな脅迫は、ホルムズ海峡付近で米軍の攻撃ヘリコプター「アパッチ」がイラン側に撃墜されたとされる事件を受け、米国が報復攻撃を開始した直後に発せられた。



