取り残されることへの恐怖──スペースXやOpenAIのIPOに高まるFOMO
この伝説的投資家が語っていたのはFOMO──取り残されることへの恐怖──であり、これは今日特に重要な論点となる。個人投資家たちは、スペースX、OpenAI、Anthropicといった高い企業価値評価の未上場企業の今後のIPOについて憶測を巡らせている。これらの企業の現在の企業価値評価は1兆ドル(約160兆円)という驚異的な水準に達している。
歴史には、華々しいファンファーレとともに上場した大型テックIPOの例が数多くある。だが、その多くはその後、ストーリーへの疲弊と現実の壁に直面し、公開市場でアンダーパフォームに終わった。
2020年、IPOを実施したSnowflakeの例
Snowflake(NYSE: SNOW)を見てみよう。2020年に当時最大のソフトウェアIPOとしてデビューした企業だ。
Snowflake(2020年9月IPO)
・IPO価格:120ドル
・初日終値:約254ドル
・ピーク時の時価総額:1200億ドル(約19.2兆円)超
・2025年10月時点の時価総額:約790億ドル(約12.64兆円)
・2026年6月5日時点の時価総額:826億ドル(約13.22兆円)
成長率106%から29%に失速、Snowflakeに何が起きたのか?
熱狂がバリュエーションを押し上げる一方で、公開市場は最終的に、ビジョンだけでなく明確で持続的な業績を求める。
・SNOWの急峻なバリュエーション倍率は、売上高成長率の減速に伴い圧力を受けた
・成長率は2022年度の106%から、2023年度には69%、2024年度には36%、2025年度および直近の2026年度には29%へと低下した
・GAAPベースでの黒字化の欠如や高水準の株式報酬も懸念材料だった
・さらに追い打ちをかけるように、2022年から金利が上昇し始め、投資家はプレミアム倍率を支払う意欲を失った
しかし、Snowflakeから得られる最も重要な教訓は、成長率や収益性やマクロ環境の引き締めについてではないかもしれない。参入価格についてかもしれないのだ。
IPO価格では買えず、高い初値で掴んだ個人投資家
事実上、個人投資家がSnowflake株をIPO価格の120ドルで購入する機会はほとんどなかった。株式はそのほぼすべてが、機関投資家、引受銀行が抱える一部の富裕層顧客、そして選ばれたアンカー投資家に割り当てられた。アンカー投資家にはウォーレン・バフェットのバークシャー・ハサウェイやSalesforce Venturesが含まれ、いずれも私募を通じて取得した。
公開市場で実際に取引が始まると、旺盛な需要により株価は1株245ドルで寄り付き、日中高値319ドルを付け、253.93ドルで引けた。日中安値は231.11ドルだった。
多くの個人投資家にとって、実際の参入価格は120ドルよりも245ドルに近かった。
仮に個人投資家が、SnowflakeのIPO当日の日中安値である231.11ドルで株式を取得し、2026年6月5日まで保有し続けたとしよう。その場合、終値238.26ドルに基づけば、リターンは約3%にとどまる。


