海外

2026.06.11 08:00

スペースXの大型IPO、米上院議員がSECに延期を求める

VictorAbreu - stock.adobe.com

VictorAbreu - stock.adobe.com

米マサチューセッツ州選出のエリザベス・ウォーレン上院議員(民主党)は、スペースXの待望の取引開始について、米証券取引委員会(SEC)に延期を求めた。スペースXの株式公開には記録破りの投資家需要が集まっており、最高経営責任者(CEO)のイーロン・マスクは世界初の「兆万長者(トリリオネア)」になると見込まれている。

スペースXのIPOをめぐる動向

(※時系列。上が最新)

米国時間2026年6月10日 ウォーレンはSECのポール・アトキンス委員長に宛てた12ページの書簡で、スペースXのIPO(新規株式公開)を延期するよう働きかけた。理由として、同社の企業価値評価、ガバナンス構造、投資家保護をめぐるより広範な懸念を挙げた。

スペースXの想定IPO規模は「SECによる慎重な審査」に値するとウォーレンは主張した。規制当局は、インデックスファンドやその他の金融機関が投資家を十分に保護しているかどうか、またスペースXが記録的な企業価値評価を説明するのに十分な情報を提供しているかどうかを調査すべきだと付け加えた。そうすることで、投資家は株式が割高かどうかをより適切に判断できるという。

ウォーレンは、スペースXのガバナンス構造(マスクがスペースXの株主議決権の85%を支配)が、投資家に対してマスクの「前例のないレベルの権力」を生むものだと主張した。ウォーレンによれば、投資家は「公開株の購入者に伝統的に提供されてきた権利よりも大幅に少ない権利」しか持てず、同社はガバナンスに関連するリスクを開示すべきだという。

一部のアナリストは、マスクの株主に対する権限を批判している。コロラド大学ボルダー校の法学教授アン・リプトンはウォール・ストリート・ジャーナルに対し、スペースXは「本質的に、株主がいかなる影響力も持ち得るあらゆる可能性を閉ざしている」と語った

6月9日 ロイターは、事情に詳しい匿名の情報筋の話として、スペースXのIPOには投資家から2500億ドル(約40兆円。1ドル=160円換算)の需要が集まり、募集計画に対する申込超過率は約4倍に達したと報じた。

6月3日 スペースXはSECへの届出書類で、IPOで約5億5560万株を1株135ドルで売り出し、750億ドル(約12兆円)を調達することを目指していると開示した。これにより同社の企業価値は、過去最高となる1兆7700億ドル(約283.2兆円)に達する可能性がある。

5月20日 SECは、S-1届出書として知られるスペースXのIPO関連書類を公表し、同社が今年中に株式公開する計画の詳細を明らかにした。

スペースXは、対象とする製品・サービスに対するあらゆる需要を獲得できた場合に得られる売上高の総額である「対象市場(アドレサブル・マーケット)」を28兆5000億ドル(約4560兆円)と試算した。内訳は、ブロードバンド事業の市場が8700億ドル(約139.2兆円)、スターリンクのモバイル部門が7400億ドル(約118.4兆円)、Xのデジタル広告が6000億ドル(約96兆円)、AIインフラが2兆4000億ドル(約384兆円)、エンタープライズ向けアプリケーションが22兆7000億ドル(約3632兆円)としている。

4月1日 スペースXはSECに対し、株式公開に向けた書類を提出し、株主資本や財務に関する情報を規制当局に提供した。

書簡全文:ウォーレンがスペースXのIPOについて述べた内容

「スペースXのIPOの規模が巨大であること自体、通常の状況であれば、SECによる慎重な審査と投資家ニーズへの注意を正当化する。しかし、これは通常の状況ではない。複数の追加要因が懸念を増幅させ、IPOを延期することで投資家保護および市場の健全性という義務を果たすためのSECの行動を必要としている」。

「同社が株式公開を認められる前に、SECは、スペースXのIPOに関与するインデックスファンドやその他の金融機関が投資家を十分に保護しているかどうかを調査しなければならない。また同社は、企業価値評価に関する開示の欠落を埋め、集中したガバナンス構造に関連するリスクと詳細が投資家にとって明確であることを確保し、この構造のもとで権利が骨抜きにされる株主に最低限の救済手段を与えるため、強制仲裁を放棄しなければならない」。

「(市場の)アナリストは、スペースXが目標とする企業価値評価の根拠となる計算について懸念を表明しており、それを『ナンセンス』、『目くらましの会計』、『まさにこの世のものとは思えない』と呼んでいる」。

「上場企業は本来、株主に対して説明責任を負うべきものだ。スペースXのIPOはこのモデルを覆し、株主が数十億ドル(数千億円)の新たな資本を提供する一方で、マスクや会社の経営陣には説明責任の仕組みがない状態になる。会社が『超議決権株式、強制仲裁、株主提案に関するより厳格な規則、テキサス州会社法を組み合わせ、スペースXのCEOイーロン・マスクおよびその他のインサイダーに支配権を与える』からだ」。

「スペースXのIPOは新たな懸念を生む。主要な株価指数が、パッシブなインデックスファンド(一般に低コストで、個人投資家にとって魅力的になり得る投資選択肢)に投資する数百万人の投資家が、意思に反してスペースXに投資させられ、選択の余地なくスペースXの重大なリスクにさらされるような形で操作されているのではないかという懸念である」。

次ページ > スペースXはいつ上場するのか?

タグ:

advertisement

ForbesBrandVoice

人気記事