経営・戦略

2026.06.11 11:30

スペースXは海外出張も変える? 「東京からロサンゼルスまで37分」の未来は実現するか

スペースXの大型宇宙船「スターシップ」と推進装置「スーパーヘビーブースター」。2023年4月15日撮影(SpaceX)

スペースXの大型宇宙船「スターシップ」と推進装置「スーパーヘビーブースター」。2023年4月15日撮影(SpaceX)

史上最大規模となる株式公開(IPO)を目前に、単なる宇宙開発企業にとどまらない米スペースXの価値に投資家らの目が向けられつつある。世間の関心は衛星インターネットサービス「スターリンク」やAI(人工知能)、新興の宇宙経済市場に集中しているが、より“地に足のついた”もうひとつの野心的計画は見過ごされがちだ。それは、大型宇宙船「スターシップ」を活用して世界規模の高速交通網を構築するという構想である。

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地球上のどこへでも1時間以内に移動できるようになるとのうたい文句が実現すれば、スペースXは民間航空業界と直接競合することになり、航空機大手のボーイングやエアバス、それらの機体を運航する航空各社にとって長期的な脅威となるだろう。そのターゲット市場は、日帰りビジネスクラス旅行だ。

スペースXによると、完全再使用型の輸送システムであるスターシップは、最終的には人や貨物を約1時間以内に地球上のどこへでも運べるようになるという。この構想は迅速な再使用性に依拠したものだ。スターシップの宇宙船と推進装置「スーパーヘビーブースター」は、打ち上げから着陸、再飛行までを短時間で行えるよう設計されている。

スペースXが提案する移動時間は前例のないものだ。英ロンドン~米ニューヨーク間をわずか29分で、東京~米ロサンゼルス間を37分で、豪シドニー~ロンドン間を51分で結ぶとされ、現在のフライト時間を90%以上短縮できる可能性がある。ロンドン・ヒースロー(LHR)~ニューヨーク・ジョン・F・ケネディ(JFK)間は、世界で最も高付加価値で収益性の高いビジネスクラス路線だ。

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スターシップは従来の旅客機のように大気圏内を飛行するのではなく、準軌道で打ち上げられ、極超音速で宇宙空間を短時間飛行したのち目的地へ降下する。乗客は旅の大部分を微小重力状態で過ごすことになる。

スペースXの社長で最高執行責任者(COO)のグウィン・ショットウェルは2018年、同社の2地点間(P2P)輸送がいずれ航空会社のビジネスクラス・サービスに対してコスト競争力を持つようになると語っていた。だが、このシステムには専用の打ち上げ・着陸施設をはじめ、まったく新しい輸送インフラが必要だ。騒音や安全上の理由から、これらの施設は沖合に設置される可能性が高い。

米ニュース専門局CNBCは以前、スターシップ開発費の見積もりを50億ドル(約8000億円)と報じていた。しかし、ロイターの先月の報道によれば、すでに投じた費用は150億ドル(約2兆4000億円)に上っている。

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翻訳・編集=荻原藤緒

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