宇宙

2026.06.16 11:15

NASAの宇宙写真から新発見、普通のデジカメ画像が明かした太陽の謎

stock.adobe.com

stock.adobe.com

今年の4月、4人の宇宙飛行士を乗せて月を周回したアルテミスIIミッションでは、オリオン宇宙船の窓から乗組員が外の景色を撮影しているが、その1枚には太陽近傍の「Fコロナ」という構造が写っていた。普通のデジカメで撮影された、いわば宇宙の記念写真なのだが、特別な解析方法を用いることで、そこから科学的価値を得ることに成功したのだ。その手法を用いれば、科学目的以外で撮影されたそのほかの宇宙の写真からも、多くの発見が得られるかもしれない。

東京都市大学と国立天文台の研究グループは、オリオン宇宙船が月の裏側を飛行した際に撮影された日食の画像を解析した。そこには、太陽が月の陰になることで、地上からでは観測が難しい微細な惑星間塵が太陽光を反射して光るFコロナが浮かび上がっていた。

NASAが公開したアルテミスIIが撮影した皆既日食の画像。
NASAが公開したアルテミスIIが撮影した皆既日食の画像。

市販のカメラで広報用に撮影されたJPEG写真なので、専用の観測機材で撮影される研究用画像に比べて精度は劣り、本来は精密な科学解析には向かない画像なのだが、背景に写り込んだ恒星を手がかりにした感度校正手法を用いることで、信頼できる輝度分布を復元することに成功した。

解析された画像のFコロナは、黄道面に沿って扁平な構造で、東西方向の分布は従来の観測とおおむね一致した。また、南北方向は、惑星間塵の分布モデルからの予想よりも広がりを持つ構造が確認された。これは、太陽系内物質の起源や進化を理解するうえで重要な手がかりになるということだ。

左は元の写真のFコロナの広がり、右は解析後のFコロナの広がり。
左は元の写真のFコロナの広がり、右は解析後のFコロナの広がり。

今回の発見で注目すべきは、「宇宙で人が撮影した1枚の写真」から宇宙の構造を明らかにした点だと研究グループは話す。人類の宇宙探査活動が新たな観測機会となり、「宇宙探査、科学研究、データ共有の連携が新たな発見を生み出すこと」が示された。これにより、宇宙で撮影された普通の写真からでも科学的成果が得られることが実証され、科学目的以外で得られた画像データの活用可能性が広がると研究グループは期待している。

プレスリリース

文 = 金井哲夫

タグ:

advertisement

ForbesBrandVoice

人気記事