欧州

2026.06.11 10:00

顔を検出し頭部を撃つ新型ドローン、ウクライナが使用か 「スローターボット」の恐怖

ウクライナのFPVドローンが飛翔体を発射してロシア兵の頭部を攻撃したとみられる画像(テレグラムで共有された動画から)

体当たりなど衝突によって攻撃するFPVドローンの場合、相手にかわされる可能性もある。また、ロシア兵が生き延びるための最後の試みとして、ヘルメットや小銃などをドローンに向かって投げつける様子もしばしば目撃されている。散弾銃も、近距離の対ドローン防御に役立つ場合がある。しかし、爆発成形弾を搭載し、正確に発射できるドローンは、より致命的で回避も困難だろう。

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「スローターボット」の脅威

ロシア側が言っていることが正確なのかどうか、わたしたちにはわからない。このドローンが本当にAI誘導を用いているのか、それとも実際には人間の操縦士によって操縦されているのかも判断できない。さらに、標準的なFPVドローンと比べて、このドローンの命中率がどの程度なのかも不明だ。

そもそも、このドローンが本当に頭部を狙っているのかどうかさえ定かではない。小火器の射撃訓練では決まって、胸部中央の重心部(センター・オブ・マス)を狙うように教えられる。そこを狙えば命中率がはるかに高くなるからだ。頭部を狙うのは狙撃手だけであり、今回の動画で頭部を撃ったように見えるドローンも、意図的に頭部を狙ったのではなく、たまたま頭部を直撃しただけだったのかもしれない。

だが、ひとつはっきりしていることがある。こうしたドローンがロシア側で懸念を呼び起こしていることだ。ロシア軍が対策を講じるのはまず間違いない。マスクを着ければドローンは目標を発見できなくなるのだろうか。ダミーの頭部ならどうなるのか。あるいは、体を丸めて頭を隠した場合、それでもドローンは攻撃してくるのか。木や壁に体をぴったり押し付けて、じっとしていても、ドローンは追尾できるのか。ただ、強化ヘルメットや強化ボディアーマーは役に立ちそうにない。小型の爆発成形弾であっても、約2.5cmの鋼板を貫通できるからだ。

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このドローンに関してなんとも不気味なのは、2017年、自律型殺人ロボットへの警鐘として、英国出身の計算機科学者スチュアート・ラッセルが制作したダークSF映像作品『Slaughterbots(スローターボッツ)』によって、その登場が予見されていたことかもしれない。作品はこんなあらすじだ。米国のあるテック企業のトップが、顔認識機能と、頭部を狙う成形炸薬弾頭を備えたドローンを披露する。これは、テロ組織の指導者を捜し出し、仕留めるために開発されたものだった。ところが、その技術はすぐにテロリスト側に模倣されてしまう。そして、民間人を追跡して殺戮する「スローターボット(殺戮ロボット)」の群れが解き放たれ、低コストの大量破壊兵器が出現する──。

もちろん、ウクライナ軍のドローンは完全自律型ではないし、民間人に対して使われているわけでもない。だが、Slaughterbotsの公開から現在までに、ドローン技術が長足の進歩を遂げたのは事実だ。2017年のSFで警告されていた未来はいま、ロシア軍にとって恐ろしい現実になりつつあるのかもしれない。

forbes.com 原文

翻訳・編集=江戸伸禎

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