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2026.06.11 07:00

アップルはAI戦略をどう立て直したのか? WWDCで見えたSiriとGeminiの未来、その決定的な差

Justin Sullivan/Getty Images

グーグルから“頭脳”を借りた真意

今回のWWDCで最も注目されていたのは、アップルがどれほど新しいAI機能を提案するかではなく、グーグルとの提携の形がどのようになるかだった。新しいApple Intelligenceの基盤となるAIモデル群には、グーグルのGeminiの技術が使われている。

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「アップルはAIを自前で作れなかった」。そう要約した報道も少なくない。だが、経営判断として見れば、これは敗北というより割り切りである。最先端のAIモデルの開発は、投資の桁が年々上がる消耗戦になっている。

アップルはその競争から半歩引いた。注力するのは、デバイス内で動くAIと、それをクラウド側から支える仕組み。本業に直結する部分である。そのうえで、フロンティアAI──規模を競う最先端のモデル──が必要な場面では、グーグルの力を借りる道を選んだ。

基調講演後の技術説明では、最上位の処理がグーグルのクラウドにあるNVIDIA製GPUの上で──ただし、アップルのプライバシーの仕組みごと持ち込んだ形で──動いていることが明かされている。

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WWDCの直前、Apple Siliconのプロダクトマネージャーであるダグ・ブルックスに話を聞く機会があった。チップの設計思想を尋ねる取材だったが、一貫していたのは、巨大なモデルを抱えることではなく、オンデバイスでいかに効率よく動かし、製品体験の向上に活かすかという視点だった。

そして肝心なのは、ここからだ。Geminiの技術を基礎として使ってはいるものの、そこにGeminiの名前は出てこない。ユーザーが目にするのは、Apple Intelligenceという1つのブランドだけだ。その先に、誰が開発したどのモデルが動いているのかは知る必要のない作りになっている。来年には中身が別のモデルに入れ替わっているかもしれないが、表の名前も、使い方も変わらない。開発者がそれらの機能を呼び出す手順も統一されている。

ユーザー体験の裏にAIモデルの違いは隠蔽し、表層から見えることはない。

先に走り始めたグーグル

冒頭で紹介したような、ユーザーの事情をよく知るパーソナルなAIアシスタント。この構想で先行していたのは、確かにアップルだった。最初のデモは2年も前のことだ。しかし、この2年でグーグルは、それを自分のものにしようとしてきた。

今年の3月、10年続いたGoogle Assistantが役目を終え、Geminiがアシスタントの座を引き継いだ。5月12日にはAndroid 17の核となる機能として「Gemini Intelligence」が発表され、その1週間後のGoogle I/Oでは、より自律的に動くGeminiの新モデルや、Geminiを軸に据えたパソコン、Geminiを組み込んだメガネ型デバイスまでが並んだ。

グーグルはこれを「AndroidがOSであることをやめ、インテリジェンスシステムになる」節目だと位置づけている。

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編集=安井克至

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