経済・社会

2026.06.11 08:15

蜜月演出した中朝の裏側 北朝鮮が人と軍の交流を報じない理由

luzitanija - stock.adobe.com

推論だが、中国が軍事交流の強化を打ち出したのは、北朝鮮に対する軍事支援ではなく、北朝鮮軍の透明化を狙った可能性が高い。中朝はすでに外交当局や司法当局の交流を続けている。ただ、軍事交流は極めて限定的だ。脱北した元朝鮮労働党幹部によれば、中国軍関係者が訪朝し、中国での勤務や留学経験がある知人の北朝鮮軍関係者との面会を求めても、北朝鮮側は常に拒絶していた。核の先制使用を否定せず、米韓などに挑発的な態度をとり続ける北朝鮮は、中国にしてみればやっかいな存在だ。ただ、北朝鮮には中国に軍事機密を開示する気など全くないと言える。

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また、中朝両国は今春、不安定な運行状態とはいえ、空路と鉄路の定期便を再開した。ただ、再開時に、中国の王亜軍駐北朝鮮大使が平壌の空港や駅に駆けつけ、旅行客を出迎えたのに対し、北朝鮮当局者の姿は見当たらなかった。北朝鮮は中国との貿易拡大を望んではいるが、人的交流の拡大は望んでいないようだ。ロイヤルファミリーのための外貨稼ぎなどを担当する党39号室の元幹部で、2014年に脱北して今は米国に住む李正浩氏は「中国人観光客が大量に北朝鮮に流れ込めば、様々な情報が入り、金正恩体制が不安定になりかねない」と指摘する。

もともと、習近平氏と金正恩氏は、北朝鮮の核実験を巡る対立から、関係は非常に悪いとされてきた。北朝鮮が今回、習氏が提案した「四つのポイント」に前向きな対応を見せなければ、北朝鮮が望む中国による大規模な経済支援は望めないだろう。

北朝鮮はロシアに対する武器弾薬輸出の見返りで、経済で一息ついた状況といえる。コメなどの食料価格は上昇し、北朝鮮ウォンの対ドルレートは下落しているが、北朝鮮で餓死者が大量に出たり、暴動が発生したりする兆候は見られない。ただ、中国の支援がない限り、せっかく大量に建設したアパートや工場群などを維持する電気や水道、ガス、交通などのインフラ整備は難しくなる。

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北朝鮮が経済的な利益を得るため、中国の提案を受け入れ、さらには米国との会談に進むのかどうか。今後、金正恩氏がトランプ米大統領との会談や、米中朝3カ国による朝鮮戦争休戦協定の平和協定への転換に向けて前向きの姿勢を示すかどうかが、大きな注目点になるだろう。

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