ワニが「デスロール」を行う理由
ワニは、哺乳類のように食物を咀嚼することができない。その顎は、力強く閉じる能力には非常に長けているが、大きな死骸を食べやすい大きさに処理する作業には向いていない。そのためワニは、別の解決策を編み出す必要があった。それは、体全体を「回転する武器」として使うことだ。こうして、デスロールが進化した。
2007年に学術誌『Journal of Experimental Biology』に発表された重要な研究では、体を回転させるこの摂食行動を力学的に検証した。高速ビデオ解析により、ワニがその長い体軸を中心として、いかに強力な回転運動を繰り出しているかが明らかになった。
回転運動が生み出す効果は、「破壊的」という表現でも足りないほどだ。ワニが体を回転させると、獲物は凄まじい捻転力と剪断力(せんだんりょく:ずらす力)にさらされる。四肢は、通常の可動域を超えてねじれ、関節は外れ、肉は引き裂かれる。組織の大きな塊が、丸ごと引きちぎられる。
その咬合力だけでも、ワニの顎から逃れるのは十分に困難だ。そしてそこにデスロールが加わると、獲物は極度に方向感覚を失い、脱出はほとんど不可能になる。
皮肉なことに、デスロールは実のところ、ワニが抱える多くの解剖学的制限を補うためのものだ。ワニは、肉をきれいに噛み切ったり、うまく咀嚼したりできない。そのため、体を回転させて獲物を振り回すことが、獲物を飲み込める大きさに分解する最も効率的な方法となる。獲物の肉を切り裂く代わりに、デスロールによって生じる運動量とトルク(回転力)を利用するのだ。
デスロールは、獲物が大きすぎて丸ごと飲み込めない状況において、特に有用だ。ワニは、獲物の四肢や肉に噛みつき、組織が分離するまで激しく回転させる。同研究は、この回転運動が、力学的な力を劇的に増大させると指摘している。その結果、長時間の格闘や追跡に比べて、必要なエネルギーが少なくてすむ。
このエネルギー効率こそ、おそらく、デスロールという技の最大の利点だ。ワニは変温動物であり、体温調節を主に外部の熱源に依存する。これは、哺乳類とは異なり、エネルギーを長時間にわたって大量に消費する余裕がないことを意味する。そのため彼らの捕食行動は、持久力よりも、獲物をじっと待つ忍耐強さと、短時間の効率的な動作を重視する。デスロールは野蛮だが、生物学的には経済的な仕留め方なのだ。
さらに、デスロールはしばしば獲物を溺死させるため、進化の観点からは、さらに合理的だ。獲物は、単に水中に引き込まれるだけではない。水中に引き込まれながら、同時に絶えず不安定な体勢に置かれる。哺乳類は、力を発揮し、呼吸を維持するためには、体の向きを調整する必要があるが、激しい回転運動は、その両方のプロセスを妨げる。こうした状況下では、特に酸素が欠乏している場合、大型の動物でさえ急速に体力を消耗する。


