CTスキャナーの3次元画像でAIに密輸品を学習させる
従来の2次元X線システムとは異なり、CTスキャナーは手荷物の中身を詳細な3次元画像として生成する。保安担当者は画像を回転させ、複数の角度から確認できるため、不審物の特定が容易になる。研究チームは、一般的な荷物の中に隠された、密輸されやすい海洋生物の形状や特徴を自動的に認識するようAIシステムを学習させられるかどうかを検討した。
そこでチームは、フカヒレ、乾燥タツノオトシゴ、乾燥ナマコを含む標本を用意した。これらのサンプルの一部は密輸品の押収物から直接得られたもので、当局が現場で直面し得る状況を現実的に再現していた。
次に、世界各地の多くの空港にすでにある技術を使い、計68個のサンプルから298件のスキャン画像を作成した。各標本は、異なる位置や設定で複数回スキャンされた。衣類の下に隠したものもあれば、金属素材で包んだもの、玩具の内部に隠したものもあり、過去に密輸業者が用いてきた手口を模倣した。
さらにチームは、Threat Image Projection(脅威画像投影)として知られる手法を用いた。これは本質的に、通常の手荷物スキャン画像に海洋野生生物製品の画像をデジタルで挿入し、学習用データセットを大幅に拡張するとともに、AIが学習するための現実的なシナリオを作り出すものだ。最終的にアルゴリズムは、何千件ものシミュレーションされた手荷物スキャン画像で学習した。学習後、研究者はアルゴリズムがこれまで見たことのないスキャン画像でテストを行った。
高精度の検出でも偽陽性13%、人手による検査は残る
AIの性能は際立っていた。
フカヒレは95%の確率で、タツノオトシゴは96%の確率で正しく識別した。ナマコはやや難度が高かったが、それでも検知精度は86%に達した。ただし、どの検知システムも完璧ではない。アルゴリズムは一部のケースで誤検出し、全体の偽陽性率は13%となった。つまり、野生生物製品が存在しない場合でも、いくつかのバッグは手作業で検査する必要がある。ここで重要なのは、研究チームがAIによる人間の専門性の代替を提案しているわけではない点だ。むしろ、機械による検知と従来の検査手法を組み合わせるアプローチを構想している。人間の担当官、探知犬、その他のスクリーニング手段は、依然としてプロセスの不可欠な要素である。「AIは検知の万能薬ではなく、人間や探知犬による検知の代替でもない」とピロッタ博士は強調した。


