スターリンク事業に依存するスペースX
スペースXが先月提出したForm S-1によると、同社は2025年に49億4000万ドル(約7915億円)の赤字を出した後、直近の四半期でも42億8000万ドル(約6858億円)の純損失を計上している。収益の大半は衛星インターネットのスターリンク事業が稼ぎ出しており、第1四半期の売上高の69%を同事業が占めた。スターリンク事業を含む「コネクティビティ」事業は社内で唯一の黒字事業であり、ロケット事業は6億1900万ドル(約992億円)の赤字、AI事業は25億ドル(約4000億円)の赤字を出しているのが現状だ。
スペースXの上場時の想定時価総額は、2025年の売上高を9365%上回っている。これと比較して、2024年最大のIPOを実施したリネージュの評価額(約2兆8800億円)は、売上高の約240%にとどまっていた。また、2025年最大のIPOを果たしたメドラインの評価額(約8兆8100億円)も、売上高の約116%という水準だった。
CNBCの報道によると、マスクは自身が率いるスペースXとテスラを統合する可能性について、社内で協議を行ったという。一部のアナリストは、これら2社の将来的な合併について何カ月も前から憶測をめぐらせてきた。ウェドブッシュ・セキュリティーズのアナリストであるダン・アイブスは、テスラとスペースXが2027年に合併する確率を「80%以上」と見積もっており、レポートの中で、「両社の事業を1つの組織に統合するための土台はすでに整っている」と記している。アイブスによると、AI市場の支配力をさらに強めたいというマスクの狙いを踏まえれば、この合併の実現こそが彼にとっての「究極の目標」だという。
一方、投資会社ガーバー・カワサキのロス・ガーバーCEOは、2社が対等に合併するのではなく、スペースXがテスラを支配下に置くかたちでの買収になる可能性が高く、最終的にはマスクが率いる主要企業が「1つの『イーロンの塊』」に集約されるだろうと主張する。予測市場もこの合併を支持する傾向にあり、カルシは2027年5月1日までにこれらの企業が統合される確率を52%、ポリマーケットは今年末までに統合される確率を41%と予測している。
史上初のトリリオネア誕生へ
フォーブスの推定によると、スペースXが1株あたり135ドルの公開価格で上場すれば、マスクの資産額は9日時点の8016億ドル(約128兆円)から上昇し、史上初の「トリリオネア(総資産1兆ドル超えの富豪)」が誕生することになる。世界一の富豪であるマスクは、合計480万株(約42%の持ち分)のスペースX株に加え、権利行使価格が8.39ドルと設定されたストックオプションを3億5000万株分保有している。スペースXが想定通りの公開価格で上場した場合、これらの保有資産の価値は総額で約6880億ドル(約110兆円)に達する計算だ。


