政治

2026.06.10 07:30

米中の利害が一致する南カフカス地方、妨害狙うロシアは蚊帳の外へ

アルメニアの首都エレバンにある大統領官邸で握手を交わす同国のニコル・パシニャン首相と米国のJ・D・バンス副大統領。2026年2月9日撮影(Kevin Lamarque - Pool/Getty Images)

他方で、ロシアとイランはこれとは正反対の利益を得ている。過去数十年にわたり、南カフカス地方におけるロシアの影響力は、未解決の紛争や軍事的な依存関係、敵対する隣国間の不可欠な仲裁者としての地位に基づいていた。ロシア政府によって操られたアルメニアとアゼルバイジャンの紛争は、ロシアに交渉の切り札を与え、同国の「平和維持部隊」を必要とした。アルメニアとアゼルバイジャンの関係正常化、特に経済統合と西側諸国の関与拡大を伴う動きは、同地域におけるロシアの影響力の基盤を脅かしている。

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ロシアの策略

ウクライナ侵攻を展開するロシアは現在、南カフカス地方で自国の立場を強化するだけの軍事力を欠いている。そのため、7日に実施されたアルメニアの議会選挙は、攻撃性を増すロシアの政治的干渉と秘密工作活動の焦点となった。ロシアが比較的低コストで自国に有利な選挙結果を導けば、自国の影響力を再び示すと同時にイランを支援し、欧米のエネルギー構想を脅かし、中国がロシアに対して過度の影響力を行使できないようにすることができた。(訳注:アルメニアの議会選挙では、親欧米路線のパシニャン首相率いる与党が勝利した。)

ロシアは目標達成のためにあらゆる手段を講じた。同国のウラジーミル・プーチン大統領は、アルメニアの西側寄りの姿勢を、2014年のロシア介入につながったウクライナの欧州連合(EU)への準加盟を目指す試みになぞらえた。

米国の「組織犯罪と汚職報道プロジェクト(OCCRP)」やロシアの「インサイダー」をはじめとする調査報道機関は、投票前にアルメニアを標的としたロシアの政治的影響力を拡大する活動が繰り広げられていた実態を明らかにした。流出した資料には、海外に居住するアルメニア人への働きかけや、アルメニアのパシニャン政権の信用を傷つけることを目的とした組織的な偽情報工作を通じて、同国の世論を操作しようとする取り組みの概要が記されていた。

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その内容は極めて示唆に富んでいる。OCCRPによると、ある取り組みは特にロシア国籍を持つアルメニア人有権者を、選挙結果に「決定的な影響」を及ぼし得る存在として位置付けていた。その他の流出文書には、パシニャン首相に対する敵意をあおりつつ、ロシアとの緊密な連携を主張する人物を擁立する計画が記されていた。こうした取り組みは、従来のプロパガンダにとどまらず、情報活動、ロシア政府とつながりのある文化団体を通じた影響力行使、秘密裏の資金提供、さらにはアルメニア政府に対する宗教的・民族主義的感情を武器化する試みにまで及んでいたとされる。

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翻訳・編集=安藤清香

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