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2026.06.10 10:00

スペースXのIPOは284兆円規模の「宇宙経済」への投資だ

Michael Yanow/NurPhoto via Getty Images

スターリンクの成功がスペースXにとっての第1章だとすれば、その第2章の扉を開くのは同社が開発する超大型宇宙船のスターシップだ。この完全再利用型の超大型宇宙船は、100トンを超えるペイロード(搭載物)を地球低軌道へ一気に運ぶ能力を持ち、宇宙空間における建造物の概念を根底から覆す可能性を秘めている。

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宇宙専門の投資会社セラフィム・スペースのCEOを務めるマーク・ボゲットは、取材へのメールで、「スターシップは宇宙ビジネスの新時代を定義づける存在になる」と語る。

現在試験飛行を重ねている最中のスターシップは、従来のわずか数分の一のコストで、約10倍もの打ち上げ能力を実現するポテンシャルを持つ。定期運航が軌道に乗れば、現在1キログラムあたり約5000ドル(約80万円)とされる打ち上げ費用が、最終的には数百ドルの水準まで下がるという試算もある。

最新の試験飛行を終え、ボゲットは次のように指摘した。「宇宙開発においてこれまで最大の壁だった重量とサイズの制約が消え去ろうとしている。これは、軌道上に文字通り巨大なインフラを構築することが現実となる、まったく新しいイノベーションの段階が切り開かれたことを意味している」

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現在、軌道上にある最大の建造物(国際宇宙ステーションやASTスペースモバイルの携帯電話基地局など)であっても、そのサイズはサッカー場ほどだ。しかしスターシップの登場により、その100倍もの規模の建造物を現実的に配置できるようになる。

それほどの巨大インフラが宇宙で何を担うのか、その答えはまだ誰も出していない。候補に挙がっているのは、宇宙型のAIデータセンターや巨大通信プラットフォーム、さらには宇宙太陽光発電システムなどである。もしスターシップが打ち上げコストの破壊的な引き下げに成功したとき、世界の関心は「どうやって宇宙に行くか」ではなく、「宇宙に何を建てるべきか」という次元へとシフトすることになるだろう。

これまでスペースXの躍進といえば、ロケットの再利用、有人火星探査、あるいは宇宙飛行士を再び月へ送る米航空宇宙局(NASA)のアルテミス計画といった、壮大なロマンと共に語られることが多かった。しかし今、投資家たちの視線はより現実的なビジネスへと向けられている。

単なる「宇宙探査の主役」ではなく、輸送やグローバル通信、さらにはコンピューティングやエネルギーにいたるまで、現代の経済を底から支える総合インフラ企業として同社を評価し始めているのだ。スペースXにとっての最大の勝機は、物資を宇宙へ運ぶことそのものではなく、軌道上にまったく新しい巨大産業や市場のプラットフォームを創り出すことにあるのかもしれない。

forbes.com原文

翻訳=江津拓哉

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