都市における緑地不足
都市緑化は、暑熱緩和の手段として最も頻繁に挙げられるツールの1つだ。樹木は地表に日陰をつくる。植生は蒸散によって周囲の空気を冷やす。緑は大気の質を改善し、都市住民が屋外でくつろぐ場所を提供し、生物多様性も支える。緑地の冷却効果は、繰り返し実証されてきた。しかし既存のエビデンスの多くは、特定の都市や地域、国に焦点を当てている。人口の曝露を、都市緑地がもたらす実際の冷却効果と結び付けた世界規模の評価は、はるかに少ない。
中国の研究チームはこの知識ギャップを埋めるべく、(夏に取得された)Landsatの熱赤外画像に、WorldPopの人口データを組み合わせて分析を行った。結果は最新号の『Cities』に掲載されている。研究対象として選ばれたのは522都市で、中国197、欧州140、米国185である。
データからは、中国の都市が近年急速に都市緑化へ投資してきた影響が明確に読み取れる。最大冷却強度は2000年から2020年にかけて2.27度から3.39度へ上昇した。対照的に米国では都市緑地の冷却効果が低下し、最大冷却強度は0.16度減少した。欧州の都市は同期間、冷却能力が比較的安定していた。研究者らはまた、気温低下が目的であれば、芝生などの小規模な植栽よりも、高く、密で、構造的に複雑な植生の方が効果が大きいことも示した。
都市緑地がもたらす冷却の恩恵を実際に受けている人がどれほどいるかという点では、本研究は顕著な空間的格差を明らかにした。米国では、調査対象都市のうち約半数(44.86%)が「人口の相当部分に対して効果的な冷却サービスを提供している」。欧州では31.43%で、その多くは「中欧の経済的に発展した地域」に位置する。中国は都市緑地の冷却強度がより高いにもかかわらず、実際にその恩恵を受ける人口割合は欧州や米国より大幅に低い。中国の緑地は増えているが、人がいる場所にはないようだ。
冷房に手が届かないとき
冷房へのアクセスは、最後に紹介する最も重大な論文の中心的テーマでもある。先の『Nature Sustainability』に掲載されたこの研究は、膨大なデータセットの分析を報告している。対象は28カ国、115万5106世帯に及ぶ人口動態・健康調査データに、過去の気候記録、緑地や水域(blue spaces)を含む衛星由来の都市形態データ、政策インベントリを組み合わせたものだ。


