小さな増加に見えるかもしれないが、意味のある差である。両都市とも、交通による温暖化効果は夏より冬の方が強かったが、効果が最大となるタイミングには違いがあった。著者らはThe Conversationへの寄稿で、「トゥールーズでは朝の交通による熱が日中に蓄積し、夜まで持続した。対してマンチェスターでは夕方のラッシュアワーが夜間の温暖化をより強め、交通に起因する気温のピークは平均で午前3時ごろだった」と述べている。
この研究は、道路を走る車両がすでに暑い都市をさらに暑くしていることを示す。重要なのは、都市をより現実的にシミュレートし、こうしたホットスポットで暮らす現実をより正確に反映するためのツールも提供している点である。
地下の方が暑い
次の研究は、都市生活者に対する暑さの影響を定量化するのに、まったく異なるアプローチを採った。ノースウェスタン大学の研究者は、『Nature Cities』に掲載された短報で、ボストン、ロンドン、ニューヨークの地下鉄システムに焦点を当てた。彼らが知りたかったのは、これらの環境における熱的不快感の程度である。だが汗だくの通勤者にアンケートを取ったり、トンネル網をモデル化したりする代わりに、インターネット上の情報を掘り起こした。
地下環境は周囲を土壌や岩盤に囲まれ、熱が保持されるため、地上よりはるかに高温になりがちだ。ロンドンでは、地下鉄(Tube)で記録された最高気温は47度で、地上の気温記録を6.8度上回る。
歴史を遡ると、1927年には、この地下の暖かさがロンドン交通局(Transport for London、Tubeネットワークの運営者)による広告キャンペーンにも利用された。
そして、通勤者が暑さで参ってしまうと、SNSに投稿することが分かってきた。ノースウェスタン大学のチームは、自然言語処理を用いて熱に関する不満を特定し、2008年から2024年にかけてX(旧Twitter)とGoogleマップに投稿された8万5000件超をクラウドソーシングで収集した。そのうち、地下の暑さについての実際の苦情に該当した4分の1を分析した。
予想通り夏が中心で、7月が一貫して熱に関する苦情の投稿数が最も多かった。興味深いことに、研究者らは、屋外の気温が10度を超えた状態で1度上昇するごとに、地下での熱に関する苦情がボストンで10%、ニューヨークで12%、ロンドンで27%増えることを突き止めた。


