経営幹部は「補償能力」が高い
3つの資質の中で、これは最も直感に反する。紙の上では、高い補償能力はより多くの資源を意味する。だが実際には、それはまた、まさにそれを生み出した成功そのものを使って、生理学的な警告サインを相殺し、回避し、あるいは覆い隠すための道具が増えることも意味する。
豊富な資源が自動的に健康上の成果を改善するわけではない。多くのリーダーにとって、それは単に、より巧妙な回避を可能にするにすぎない。高額な薬、一時しのぎの身体最適化アプローチ(バイオハック)、必要なときに呼べるパーソナルサービスは、症状の管理には役立つ。
だが、それらは根底にある慢性的ストレスには対処しない。休暇は予定に入るが、組織構造や業務上のプレッシャーが根本的に変わらなければ十分な効果は得られない。リーダーが戻った瞬間に、反動の消耗が始まる。
問題を隠したり回避したりできる手段を持つことで、経営幹部は自らの課題の周囲に壁を築き得る。あるいは逆に、同じ資源を使って、野心とパフォーマンスを、生物学的基盤を犠牲にせず結び付けることもできる。
経営幹部には、いずれツケの支払いが来る
優れたキャリアと企業を築く資質は、資産である。そうでなくなるまでは。問題は資質そのものではない。リーダー自身のウェルビーイングを、継続的に、しかも多くの場合は意図せず先送りしてしまうことにある。
経営幹部がさらされるプレッシャーは増す一方であり、リーダーは常に周囲からの厳しい視線にさらされている。管理すべきことは増え、ミスの許容幅は狭い。その環境では、個人のウェルビーイングが混乱の中で最初に失われるのが常である。
請求書には必ず支払期日がある。先送りを続けても、コストが消えるわけではない。むしろ利息が上乗せされる。経営幹部の場合、その請求は認知機能の低下、疲労の増大、集中力の低下として支払われる。影響は個人にとどまらない。なぜなら組織が到達できる範囲は、それを率いる人物の生物学が許すところまでに限られるからである。
演劇には「ショーは続けなければならない」という、試され尽くしたルールがある。だが、経営幹部が下し得る最も重要な制作上の判断は、演出家が長く持ちこたえられるようにすることだ。


