サイエンス

2026.06.11 18:00

なぜ人間の目には「紫外線が見えない」のか? 網膜を守る水晶体のメカニズム

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だが、すべての鳥がまったく同じように紫外線を見ているわけではない。鳥の視覚系では、紫色への感受性と、紫外線への感受性のあいだで、何度も進化的転換が起こった。この事実は、紫外線知覚が、鳥の生態と行動に重要な帰結をもたらしてきたことを物語っている。

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紫外線シグナルは、配偶者選択から採食まで、鳥の日常生活のほぼすべてに影響を及ぼす。ヒトの眼には地味に映る羽は、鳥から見れば、きらびやかな紫外線反射があしらわれているかもしれない。ベリーや果実のなかには、紫外線下では背景の草葉から際立って見えるものがある。一部の種の鳥は、紫外線をナビゲーションや、自種の認識に役立てている可能性もある。言ってみれば鳥たちは、私たちが知覚するよりも、はるかに豊かな視覚世界に暮らしているのだ。

ハナバチも、紫外線視覚をもつことでよく知られており、2001年に学術誌『Journal of Experimental Biology』に掲載された論文もある。多くの花は、ハナバチに発見されやすくなるよう、紫外線視覚によって確認できる模様を進化させた。例えばデイジーの花は、ヒトの眼には一様に黄色く見える。しかしハナバチの眼には、ハチを誘導する弓矢の的のような鮮明な模様が見えているため、蜜のありかに直行できる。

これらの例は、進化にまつわる深遠な真実を私たちに突きつける。「客観的な知覚」というものは、どこにも存在しない。どんな生物も、自身の生存に必要な、現実世界のひとかけらを経験しているだけなのだ。

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ヒトが進化させてきた視覚系は、日中の鋭敏な視覚、社会的シグナルの送受信、網膜の長期的保護に最適化されている。鳥は、私たちには見えない紫外線下の羽の模様を読み取るシステムを進化させた。ハナバチは、独自の波長で塗り分けられた、花弁の上の「滑走路」に着地できるような眼を獲得した。

ヒトも鳥もハチも、まぎれもなく同じ世界に暮らしている。しかしそれぞれの種は、異なる窓を通して世界を見ているのだ。

forbes.com 原文

翻訳=的場知之/ガリレオ

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