紫外線視覚とは、どんな感覚なのか?
ほとんどの人は、紫外線視覚についてドラマチックな想像をしている。物体の輪郭がまばゆく光ったり、サイケデリックな色彩が見えたり、風景がネオンカラーに変わったり、といった想像だ。しかし、現実の紫外線視覚はおそらく、もっと控えめなものだろう。
とはいえ、この問いに答えるのは難しい。自分の脳に処理できないような色を想像することは、私たちには不可能だからだ。ヒトの視覚は、長波長(赤)、中波長(緑)、短波長(青)に高い感受性をもつ、3種類の錐体細胞を基礎としている。私たちが経験する色は、これらの細胞から送られるシグナルの強さの比較を通じて創発している。
紫外線への感受性をもつ動物の多くは、紫外線波長に特化した別の光受容体を備えている。例えば、多くの鳥は4色型色覚であり、ヒトには利用できない第4の色のチャネルを備えていると言える。鳥の視覚世界には、私たちが概念すらもっていないような、数々の特徴があるのかもしれない。
ヒトにとって、真の紫外線視覚を想像するのは、まったく新しい原色を想像するようなものであり、私たちの言葉も想像力も、これには無力だ。それでも、見慣れた物体の多くが、突如としてまったく違った様相を示すだろうとは推測できる:
・花のなかには、ヒトの眼には一様に白く見えていても、紫外線下で確認できる「蜜標(nectar guide)」をもつものが多くある。送粉者になる昆虫などの動物を、花粉や蜜のありかに誘導する、高コントラストな模様のことだ。
・鳥の羽は時に、私たちの眼には一様な色彩に見えても、実は紫外線を反射する部分を備えていて、これらが配偶者選択に利用されることがある。
・哺乳類の毛や皮膚にさえ、ヒトの眼には見えない形で、紫外線を反射するものがある。
何より重要なのは、紫外線視覚は単に「光量が増える」といったものではなく、視知覚を根本から再構成する要素だということだ。野原は緑一色ではなくなり、進化が数億年にわたって生命に織り込んできた、隠された重層的シグナルが姿を現すことになるのだ。
「ヒトが知らない紫外線世界」を見ている動物たち
紫外線視覚は、意外なくらい、動物界の至るところに見られる。魚、爬虫類、昆虫、クモ、それに多くの鳥が、なんらかの方法、なんらかの形で、紫外線波長を知覚している。しかし、代表例を一つ挙げるなら、やはり鳥になるだろう。鳥たちの日常生活は、紫外線と分かちがたく結びついているからだ。
2013年に学術誌『Proceedings of the Royal Society B』に掲載された論文では、鳥類における紫外線感受性の進化的意義が考察されている。これによれば、紫外線視覚は、鳥類の異なる系統において繰り返し進化し、多様化してきた。


