下剤不要の「バーチャル内視鏡」大腸がんによる死を根絶へ
岡本将輝|Boston Medical Sciences

大腸がんは、日本で罹患数が最も多いがんであり、死亡数は全体で2位、女性では1位を占める。早期の発見と医療介入によって十分に回避できるにもかかわらず、死亡数が高い水準にある大きな要因は、精密検査を受けるべき人が受けていないという「非受診問題」だ。2Lもの下剤の服用、肛門からの内視鏡挿入、長時間の検査による拘束──こうした身体的・精神的な負担が、人々を検査から遠ざけてきた。
この巨大な課題に挑むのが、2023年4月に設立されたBoston Medical Sciencesだ。同社が開発する「AIM4CRC」は、世界初の下剤不要のバーチャル内視鏡検査システム。医療機関で撮影したCT画像をクラウド上にアップロードすると、独自開発のAIが仮想的に腸管内の残りかすを除去し、全長約2mにおよぶ大腸からポリープを自動で検出する。特に高リスク病変に対する感度は、既存の下剤ありの大腸CT検査に劣らない精度を実現している。
代表の岡本将輝は、ハーバード大学医学部で教員、マサチューセッツ総合病院で研究員を務める医師でもある。同社のプロダクトは厚生労働省の「プログラム医療機器に係る優先的な審査等の対象品目」に指定され、国内治験を経て薬事承認申請を控える。26年度からは、日本・米国を起点にグローバル展開を本格化。「誰一人、大腸がんで亡くならない世界へ」──そのビジョンの実現に向け、着実に歩みを進める。
岡本将輝◎信州大学医学部卒業(医師)、東京大学大学院医学系研究科専門職学位課程および博士課程修了、英University College London科学修士課程最優等修了(with distinction)。UCL visiting researcher、 日本学術振興会特別研究員(DC2・PD)、東京大学特任研究員を経てBoston Medical Sciencesを創業。


