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RISING STAR

2026.07.04 11:30

投資の基準が激変、大混乱期のスタートアップに必要な新しい戦い方

国とスタートアップの共闘

また、インキュベイトファンド代表パートナーの村田祐介は、現在のシード・アーリーステージにおけるAIと並ぶ潮流として安全保障・防衛を挙げる。アストロスケールやSynspect iveなどグロース市場へ複数社が上場した実績もあり、もともと宇宙分野への投資は活発だったが、「無人機(ドローン、無人潜水機)、サイバーセキュリティ、量子技術、レーザーセンサーといった領域が、国策としての『SHIELD構想(多層的沿岸防衛体制)』や無人アセット防衛能力の強化と連動して、強い引き合いとなっている。政府がスタートアップからの調達を明確に要望しており、スタートアップ側も民生用技術から、デュアルユース(軍民両用)への転換を進めるケースが増えている」(村田)。国が防衛費を引き上げ、最新の装備品を配備するなかで、従来の防衛大手だけでなく、機動力のあるスタートアップの技術が求められているというわけだ。

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国策という意味では、「日本成長戦略会議」で指定されたAI・半導体、量子、マテリアル、フュージョンエネルギーなどの重要投資対象17分野は総じて注目すべきテーマだ。そうとらえると、AIや安全保障という大きな潮流のなかで、チャンスが広がっている領域は広範にわたる。

ANRIジェネラルパートナーの中路隼輔は、「現在のシード・アーリーのスタートアップシーンを一言で表すなら『大混乱期』だ」と言う。「AIの発展が著しく、ソフトウェア産業の根幹がどこまでつくり替えられるのか、SaaSという領域をどう定義し直すべきかという議論が錯綜している。また、コロナ禍以降、国の動きとスタートアップの動きがより強くシンクロしてきている。かつては『新しい挑戦を幅広く支援する』というスタンスだったが、現在は国が求める領域に対してスタートアップが挑戦し、それを補助金や調達で後押しする流れが明確だ」。

同社は今年1月、300億円規模のシードファンドを設立。同時にプレシード期の起業家を対象とした新たなプログラムを開始した。ファンドを通じてではなく、ANRI本体から300万~500万円を出資するもので、「あえて現時点では投資すべきか判断に迷うような領域を模索していく」と中路は説明する。「従来は見向きもしなかったような領域にこそ、次の大きな可能性があると考えている。例えば、映画製作会社や、飲食店の海外展開、日本の伝統文化の再構築などだ。これらは従来のVCでは投資対象になりにくいが、AIによる効率化やグローバル展開を組み合わせることで、大きなリターンを生む未来の産業になり得ると考えている」。

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8年目を迎えた今年の「RISING STAR」プロジェクトは、まさにこうした未来の主役たちが集う場となった。創業3年以内のスタートアップ起業家130人以上が応募したピッチコンテストでは、「AIスタートアップ」を標榜するプレイヤーが数十社に上ったほか、安全保障関連の事業を展開する企業も例年以上で、累計調達額が数十億円以上という会社も相当数含まれていた。起業家の層や質は明らかに高まっており、彼・彼女らは市場環境の変化を機敏にとらえている。日本を前進させる起業家たちの活躍のフィールドはますます広がっていく。

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文=眞鍋 武 イラストレーション=Kouzou Sakai

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