つまりApple Intelligenceの仕組みはエージェンティックAIに変わるのか
近年、自律的に思考し行動する「エージェンティックAI」が注目を集めているが、Apple Intelligenceもその方向へと舵を切りつつある。ロックウェル氏は「エージェントとは情報を取り込み、決定を下し、行動を起こすループのことである」と定義した上で、現在のSiriは主にリクエストベースで動いているものの、その基盤にはエージェント的なアーキテクチャが採用されていると語った。
新しいSiriでは、システム全体のプライバシーアーキテクチャの鍵を司る「オーケストレーター」がAIモデルと連携しながら、アプリツールボックスを操作する、先述の「ツール呼び出し」機能を抜本的に作り直して組み込んだ。これにより、ユーザーの指示を受けてSiriが裏側でアプリの機能を直接実行することが可能になる。
アップルは新しいフレームワークを通じて、この仕組みをサードパーティの開発者にも開放する。現時点では完全に自律的で長期的なタスクを自動でこなす段階にはないが、将来の強力なエージェントAIへと進化していくために、堅牢で拡張性にも富んだ下地は既に準備されている。
Google Cloudのインフラを使用するという発表に対し、「アップルユーザーの個人情報がグーグルに渡ってしまうのではないか」という懸念がアップルにも寄せられているという。この問いに対してマリノー=メス氏は、アップルによるPCCの厳格なプライバシー基準をエンドツーエンドで維持する仕組みが、Google Cloudをベースとする実行環境においても担保されることを強調した。
クラウドに送信されるデータは、該当する推論処理に必要な最小限のものにとどめ、処理が完了して回答を生成した直後に一切の記録が完全に消去される。これらのデータがサーバーに保存されたり、プロファイル構築に利用されたりすることはなく、さらにはアップルでさえもその内容を知ることができない仕組みがある。
そしてクラウド上に展開されるソフトウェアもアップルが独自にコントロールしている。ユーザーのデバイスはアップルが署名した認証済みのソフトウェアとのみ通信を行う、強固な機密性を確保した。
Siri AIの提供開始予定は年内。英語環境から
WWDC 26における一連の発表は、アップルが独自のAIアーキテクチャを完成させ、本格的な攻勢に転じたことを強く印象づけるものだった。
ただし、今回のWWDCの時点では、そのサービスモデルなど気になる情報の多くがまだベールに包まれている。そして、AIをめぐる競争がこれからも一段と激しさを増してくることを踏まえれば、Siri AIに関するいくつかの課題も浮かび上がる。筆者は特に以下の3点に注目した。


