天文ファンにとって今週は6月最大のハイライト。宵の空で輝く金星と木星が大接近し、今年指折りの見逃したくない天体ショーを披露してくれる。近くの低空には水星も見えている。
明け方の空では月が少しずつ細くなり、やがて新月の闇夜を連れてくる。まもなく訪れる夏至と、続いてやってくる満月が北半球での星空観察を難しくする前に、真の暗い夜空を堪能できる最後のチャンスだ。
2026年6月9日からの1週間の夜空の見どころをまとめた。
6月9日(火):金星と木星が大接近
金星と木星が「合」となり、日の入り後の西の空で、わずか1度強の近距離で並ぶ。「宵の明星」の金星は木星の約7倍の明るさで輝き、すぐ隣に寄り添うように木星が光る。肉眼で楽しめる美しい光景だ。双眼鏡を使えば、両惑星を同じ視野内で同時に観察できる。
6月11日(木):細い月と土星が共演、水星が見ごろ
未明~明け方にかけて、月齢25の細い月が東の空で土星の左側に並んで見える。日の出1時間前の両天体の高度は約30度。日没後には、西の空で水星が今年最も高く昇り、見ごろを迎える。金星、木星とともに3惑星をまとめて観察する絶好の機会となるだろう。
6月13日(土)~14日(日):細い月が火星、すばると共演
13日の未明~明け方、月齢27の細い月が東北東の低空で火星と接近する。月は、翌14日の明け方にはさらに低空で、おうし座のプレアデス星団(すばる)の左側に現れる。
6月15日(月):新月
今宵は新月。夜空から月明かりが消える。なお、この時期(6月中旬)は日本全国で日の出の時刻が今年最も早い。
「真の闇夜」は今回限りでしばらくお休み
実は、今回の新月を逃すと、夏の終わりまで本格的な暗い夜空を満喫できる機会はほとんどなくなる。というのも、夏至を過ぎると北半球の多くの地域では、太陽が沈んでも地平線のすぐ下にある薄明の時間が長く続き、天文観測に適した「真の闇夜」とはならないためだ。未明から明け方にかけて空が白み始めるのも早く、この傾向は緯度が高いほど顕著になる。短いチャンスを最大限生かすには、日没から1時間~1時間半後、空がすっかり暗くなったタイミングを逃さずに外に出て頭上を眺めよう。
今週の星座:こと座
こと座は小さな星座だが、全天でも屈指の明るい星である1等星ベガ(編集部注:日本では七夕の「織姫星」として有名)があるため、ないがしろにはできない存在だ。夏の夜空を代表する星座である。
6月に入ったらこと座を探してみてほしいのは、そのタイミングが完璧だからだ。日没後、暗闇がピークに達した段階で東北東の中空にきらめいているので、夏の訪れをいち早く知る目印となるのだ。ベガを見つけられれば実質的に、夏の夜空の中心軸を特定したことになる。
ベガは、夜空で最も明るく最も有名で最も重要な星のひとつに数えられる。なぜかといえば、天文学において長年「0等星」として星の明るさを測る基準(測光標準星)となってきたからだ。それだけでなく、ベガは紀元前1万2000年頃には「北極星」、すなわち真北を示して動かない星だった。そして西暦1万3700年頃には再びベガが北極星となる。
太陽系からわずか25光年先にあるベガは、約4億5500万歳と推定されている。太陽と比べると10分の1の年齢の若い星だが、明るさは40倍にもなる。ベガを中心に公転する惑星は存在しないことが示唆されている。



