「このような不確実性は嬉しい悩みだ」
先月発表した2026年の修正予算案の中で、カリフォルニア州のギャビン・ニューサム知事は、同州に拠点を置くテック企業やAI企業の株価が大幅に上昇した影響を踏まえ、潜在的な赤字を解消した。スペースX、アンソロピック、オープンAIのIPOがもたらす影響についての具体的な試算はまだないが、カリフォルニア州財務局の対外広報担当ディレクターであるH・D・パーマーがフォーブスに語ったところによると、その影響はプラスになるはずだという。
「確かに、それが州の最終的な財政収支にとってプラスになるだろうという見通しと期待はある」と彼は述べた。「このような不確実性は嬉しい悩みだ」。
同様に、カリフォルニア州の議員たちに財政的な助言を提供する立法分析局も、これらの大型IPOが同州にどのような影響を与えるかについての試算をまだ出していない。
立法分析局のブライアン・ウーラーは、公開されたスペースXの提出書類にはこうした試算を行う上で必要なデータがいくつか示されているものの、依然として多くの未知数があると語る。「今回のIPOは、従来の大型テック企業のIPOと同様にはならないと考える理由がある」。
長く降り注ぐスプレーのような税収
ウーラーによると、その理由の1つは、株式公開前に定期的なスケジュールで権利確定し、それによって所得税が徴収される「シングル・トリガー型」RSUの存在だという。フェイスブックといった過去の大型テック企業のIPOでは、株式公開時に一斉に権利確定する「ダブル・トリガー型」のRSUが大量に発行されていた。言い換えれば、カリフォルニア州は一度に噴き出す間欠泉のような分かりやすい税収を得るわけではない。長く降り注ぐスプレーのような税収を得ることになるのだ。
「この場合、会社の本社所在地から税収が生まれるわけではない」と、カリフォルニア予算政策センターでエグゼクティブ・ディレクターを務めるクリス・ホーンは語る。「IPOによる税収は、数百人から数千人の人々が突然、アッパーミドルクラスから富裕層や超富裕層のステータスへと駆け上がる時に生まれる。あるいは、非常に急速に裕福になり、その利益の一部を使いたいと願う多くの人々から生まれる」。
「彼らは家を買い、他の投資を行うだろう」と彼は語る。「非常に高いレベルで経済活動が活発化し、極めて迅速に多くの税収を生み出す。したがって、同州は個人所得税、中でも特にキャピタルゲイン税の分野において恩恵を得ることになる」。
従業員の会話やチャットグループの間で大きな話題に
みずからスタートアップを立ち上げるために数年前にスペースXを退職した元エンジニアは、IPOが家計や納税額に与える影響は、最近従業員たちとの会話やチャットグループの間で大きな話題になっていると語る。
「私が知っている人は皆、今でも株式を保有し続けている。スペースXがまだ未公開企業だった頃は、自分たちの持ち株を大量に売却することができなかったからだ」と、匿名を条件にこの元エンジニアは語った。同社が提出したForm S-1には、現在および過去の従業員に対するロックアップ期間が記載されており、一度にすべてを売却するのではなく、年間を通じて保有株の一部のみを売却することが認められている。
「第2四半期の決算報告後、第3四半期の決算報告後、あるいはその他の特定の期間が経過した後に、段階的に売却可能となる仕組みだ」と彼は語る。「最初の節目では、例えば保有株の7%、次に13%といった具合に売却できるようになり、180日目に達するまで段階的に上がっていく仕組みだ」。
その結果、スペースX株を保有する人々は「来年まで長引くような」長期の納税を行う必要があるだろうと、この元エンジニアは語っている。


