欧州

2026.06.09 07:30

ロシアに戦争終結を迫るにはバルト海から圧力をかけよ

バルト海に注ぐロシアのネバ川に停泊する北極海向け多目的砕氷巡視船「イワン・パパニン」。2024年7月20日撮影(Getty Images)

バルト海に注ぐロシアのネバ川に停泊する北極海向け多目的砕氷巡視船「イワン・パパニン」。2024年7月20日撮影(Getty Images)

戦略的な好機

米国のドナルド・トランプ大統領には、ロシアによるウクライナ侵攻の終結を早める好機が訪れている。イランに対する圧力作戦の論理を応用し、バルト海の上空と海上で圧力作戦を開始することで、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領を交渉の席に着かせることができる。

米国は、膠着(こうちゃく)状態を受け入れるか、ウクライナへの支援を無期限に続けるか、あるいはロシア軍に対して直接的な攻撃を強めるかのいずれかを選択する必要はない。代わりに、北大西洋条約機構(NATO)や欧州連合(EU)の加盟国を率いて、バルト海で規律ある制裁執行作戦を展開し、ロシアの軍事機構を支える船舶や貨物、港湾サービス、保険契約、金融網に対して措置を講じることができる。

これが戦略上の核心だ。バルト海での圧力作戦は、合法的かつ連合に基づき、段階的に拡大可能で、交渉に直接結び付いた強制手段を米国に与えることになる。これはウクライナへの継続的な軍事支援に取って代わるものではない。ロシアが戦場での損失を吸収し、莫大な費用をかけてでも戦闘を継続することを可能にしている海上収入に圧力を加えることで、ウクライナへの軍事支援を強化するものだ。

空軍と海軍、制裁の執行、同盟国による監視、港湾国による統制、法的規律を軸にしたバルト海作戦を展開すれば、ロシアにとって侵略を継続する代償は、真剣な交渉を行う代償よりも耐え難いものとなるだろう。これにより、トランプ大統領は膠着状態と直接的な軍事衝突の双方に代わる現実的な選択肢を得ることになる。

なぜタイミングが重要なのか

ウクライナが戦略的な突破口を生み出している今、このような作戦の正当性は強まっている。ロシア軍によるウクライナの電力網へのミサイル攻撃が相次いだ過酷な冬を越した今、ロシア側にはもはや勢いはない。他方で、同国は兵力の動員と維持で構造的な優位性を保っている。すなわち、豊富な人的資源や高い兵器製造能力、そして大陸国家としての地理的な奥行きがあるのだ。これらの優位性により、同国は消耗を吸収しつつ、複数の戦線で圧力を維持することができる。

だが、決定的な成果は得られていない。ロシア軍の進撃は著しく鈍化し、大部分が停滞している。その代償は大きく、ウクライナ軍の阻止に対する弱さを露呈している。ロシアの兵力増強は、突破能力を生み出すというよりは、むしろ軍事活動を維持するためのものに過ぎない。同国は持久戦と消耗戦に最適化された軍事機構を構築してきたが、ウクライナは適応力、精密性、そして戦略的な攻撃でこれに対抗している。

ウクライナは即席の市販技術を無人システムや分散型情報収集、精密攻撃、そして迅速な戦場適応といった多層的な作戦へと転換させた。前線では、小型航空機や地上ロボットが標的の特定やロシア軍部隊への攻撃、物資の輸送、負傷者の救出を支援するとともに、危険地帯にさらされるウクライナ兵の数を減らしている。前線のはるか後方では、ウクライナ軍の攻撃システムがロシア軍の補給拠点や輸送拠点、司令部、防空砲台に到達しており、同軍はウクライナの陣地から物資や部隊を遠ざけることを余儀なくされている。

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翻訳・編集=安藤清香

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