経営・戦略

2026.06.09 09:30

世界の航空業界の燃料費は前年比約16兆円増加、利益は「半減」へ

Yin Liqin/China News Service/VCG via Getty Images

Yin Liqin/China News Service/VCG via Getty Images

世界の航空業界はジェット燃料価格の高止まりと利益の急落という現実に直面している。経営陣のトーンは悲観的なものへと変化しており、旅行者にとっては、近い将来に航空運賃の値上げが待ち受けていることを示す明確な兆候が表れている。

世界の航空会社が2026年に支払うジェット燃料費は、昨年より1000億ドル(約16兆円。1ドル=160円換算)増加する見通しだ。国際航空運送協会(IATA)のウィリー・ウォルシュ事務総長が各航空会社のCEOや上級幹部が集まるIATA年次総会で明らかにした。

ウォルシュは米国時間6月7日にリオデジャネイロで開催された年次総会で、ジェット燃料価格が前年比で70%も高騰した結果、2026年の世界の航空業界の純利益は2025年の約450億ドル(約7.2兆円)から230億ドル(約3.68兆円)へと「半減する」との見通しを示した。

デロイトが先週発表した航空業界幹部への聞き取り調査では、燃料価格の変動とインフレ圧力が同業界における最大のリスクとされている。

ジェット燃料価格は、航空各社の今後の見通しにどう影響しているのか

航空業界のアナリストらも一段と暗い見通しを描きつつある。デロイトのアナリストは「航空業界は確かな勢いを持って2026年を迎えた」と述べつつも、「しかし、年半ばを迎える頃には、その楽観論は遠い記憶のようになった」と指摘した。フィッチ・レーティングスも先週、世界の航空業界の見通しを「悪化」に改定し、燃料価格の高騰が最近の航空会社の破綻や流動性不足をもたらしたとした。

多くの航空会社は燃料価格の高止まりが2027年まで継続すると見込んでいる。ユナイテッド航空は原油価格が2027年末まで1バレルあたり100ドルを上回る水準で推移すると予想したほか、エア・ニュージーランドのニキル・ラヴィシャンカルCEOはロイターに対し、ヘッジ取引と2027年までの値上げ分によって燃料費の増加分の25%から40%をすでに相殺したと語っている。

この夏、航空運賃は上がるのか

「原油価格の高騰は、必然的に航空券の価格上昇につながる」とウォルシュは語り、航空各社の利益率は「極めて薄い」と付け加えた。世界的な航空需要は燃料コストを相殺するための運賃値上げが進むなかでも堅調だが、それでも今後の減速は避けられないとウォルシュは分析する。

また、ブリティッシュ・エアウェイズのショーン・ドイルCEOはガーディアン紙に対し、まずは長距離路線やプレミアムクラスで値上げが進むが、短距離のレジャー市場は価格に対してより敏感なままであるとの見方を示した。加えて、米国内の情勢について、航空券の割引情報アプリ「Going」の広報担当者であるケイティ・ナストロはフォーブスに対し、「国内線の運賃は7月4日の独立記念日前後が前年比17%の上昇、夏の残りの期間も約18%上昇している」と語った。その一方で、国際線の平均運賃は前年比でほぼ横ばいであると付け加え、「これは国際線の予約が冷え込みつつあるサインだ」と指摘した。国際線を利用する旅行者にとっては運賃の据え置きは朗報かもしれないが、「航空会社にとっては決して良いニュースではない」とナストロは付け加えている。

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翻訳=江津拓哉

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