世界的なAI(人工知能)ブームに牽引された株式市場の強気相場を追い風に、日経平均株価は前回の「日本長者番付」作成時から70%近く上昇したが、円安の影響も受けた。総合的に見た日本の富豪上位50人・組の資産総額は、前年比29%増の2940億ドル(約46兆8000億円)となった。
孫正義が2021年以来の首位奪還
今年の番付は、資産の増加がごく一部の富豪に集中している点が特徴だ。資産を積み増した富豪は14人・組にとどまった。このうち、過去最高の資産増を記録したソフトバンクグループ創業者の孫 正義は、2021年以来となる番付首位を奪還。純資産は518億ドル(184%)増えて800億ドル(約12兆7000億円)となり、増加率・金額とも番付トップだった。ソフトバンクは、ChatGPTの開発元であるOpenAIへの数百億ドル規模の出資に伴い、2026年3月期決算で過去最高の純利益5兆円(310億ドル)を報告している。
ユニクロ創業者の柳井 正は、親会社ファーストリテイリングの売上収益(売上高)と純利益が堅調に伸びたことで資産を30%以上増やして650億ドル(約10兆3000億円)としたものの、2位に後退した。一方、5位に入った半導体製造装置メーカー、ディスコ創業家の関家一家は、AI関連製品の需要急増により同社の株価が2倍以上に跳ね上がったことで、純資産が41億ドル増の91億ドル(約1兆4500億円)となり、順位を3つ上げた。
6人・組が初の番付入り
初の番付入りは6人・組で、これには石油元売り大手の出光興産取締役で家族と合わせて11億5000万ドル(約1830億円)の資産を保有する出光正和が含まれる。出光興産は、イラン情勢を背景とした原油価格の高騰が思いがけない利益をもたらした。2025年度(2026年3月期)通期決算は純利益が65%増の1720億円となり、株価は48%急騰した。
また、半導体・FPD(フラットパネルディスプレイ)関連装置を製造するローツェの創業者、崎谷文雄も番付初登場を果たした。受注増への期待から売上高の増加が見込まれる中、同社の株価はこの1年間で2倍以上になった。
番付に返り咲いたのは1人だ。家電量販店大手ビックカメラの創業者である新井隆二は、資産額11億3000万ドル(約1800億円)で48位に1年ぶりランクイン。同社は2025年9月~2026年2月期の連結決算で売上高5080億円、純利益が前年同期比23%増の110億円を計上した。
資産を減らしたのは27人・組。パーソナルケア製品メーカーのユニ・チャーム代表取締役社長の高原豪久は、同社の株価下落に伴い、資産額が3分の1近く減って36億ドル(約5730億円)となった。日本の消費者の節約志向が強まる中、同社の2026年1〜3月期連結決算は四半期純利益が21%減の198億円だった。
また、3人・組が番付から陥落した。医療機器メーカー、シスメックス創業者一族の中谷一家は、同社の株価がほぼ半減し、2026年3月期の連結決算で純利益が354億円と33%以上減少した。番付50位の純資産額は、前年の12億ドルから11億ドル(約1750億円)へとわずかに下がった。



