食&酒

2026.06.15 07:15

コーヒー高騰が続くなか喫茶店の倒産が2年ぶりに減少した背景

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かつての純喫茶から、スペシャルティコーヒーや体験型カフェへ。日本の喫茶文化が岐路に立たされているいま、倒産動向にひとつの転換点が現れた。

信用調査・経営分析を手がける帝国データバンクが集計した喫茶店の倒産件数データが、その実態を浮かび上がらせた。

高コスト構造のなかで倒産が減少

2026年1〜5月に発生した喫茶店の倒産(負債1000万円以上・法的整理)は24件。3年連続で20件台という高水準に変わりはないが、前年同期比では2年ぶりの減少となった。コーヒー豆や食材価格の高止まりが続き、光熱費や人件費も重くのしかかる経営環境のなかで、なぜ倒産は減ったのだろうか。

数字の背景を読み解くと、単純な回復ではなく、生き残り方の変容が見えてくる。コーヒー豆の価格高騰に直面した喫茶店の多くは、コーヒー単体で収益を確保するモデルから、空間や体験そのものを売る方向へと軸足を移しているようだ。

スペシャルティコーヒーや高級コーヒー、原価の比較的安定した紅茶や緑茶、訪日客に人気のある抹茶といったティーカフェ業態の展開、SNS映えを意識したフードメニューの強化といった手を打ち、客単価を引き上げることで黒字を維持する店が増えてきている。

二極化が示す値上げの分岐点

一方、厳しい現実もある。2025年度に増益を確保した喫茶店は全体の3割強にとどまり、前年度の4割超から後退した。黒字を維持できた店がある一方で、赤字・減益の割合は前年度より増えており、業界内の明暗は鮮明だ。価格転嫁に踏み切れないまま常連客の来店に頼り続けた店ほど、コスト上昇の影響をそのまま利益の目減りとして受け止める結果になった。

業界全体では、大手セルフカフェチェーンの寡占化が進み、眼鏡チェーンなど異業種がライフスタイル提案型カフェとして相次いで参入。昔ながらの喫茶店にとって、市場はすでにレッドオーシャンだ。

倒産件数の減少は、喫茶文化の復活というより、変化に対応できた店と対応できなかった店との選別が進んだ結果とも読める。価格を上げる勇気と、それを支える付加価値の両輪を持てるかどうかが、次の局面を左右しそうだ。

プレスリリース

文=池田美樹

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