現代のAI機能の多くは、言語モデルを基礎に組み立てられている。Mac StudioやMacBook Proで大規模言語モデルを動かす際にも、この両輪は重要だ。しかし、最も重要なことは、アップルの製品ライン全体で、このバランスの取れた性能を生み出していることだと彼は説明した。
アップルは「何の会社」なのか
アップルとは、何の会社なのか。
サービスの売上をどれだけ伸ばそうと、優れた半導体をどれだけ設計しようと、その根にあるものは一つだ。コンピューティングを通じて、より良いユーザー体験を作る。アップルは、そのたった一つの価値観を追求するハードウェア製品の会社である。
この視点でAppleシリコン全体を見渡すと、ブルックスが語った設計思想が一本の線でつながる。常識外れとも言える大容量のユニファイドメモリを搭載可能なMacから、手のひらに収まるiPhoneまで一貫して同じアーキテクチャを採用していること。メモリ帯域を惜しまず、演算性能に応じてメモリ帯域を釣り合わせること。多様な処理モジュールを用途ごとに最適な数だけ配置すること。
これらすべては、製品を手にした人間が感じる体験を高めるという目的の先にある。
ブルックスは、こうした設計思想は、機械学習をデバイスの機能へ取り入れ始めた初期の時代から積み上げられてきたと振り返る。
機械学習処理専用のNeural Engineが初めて導入されたのは、2017年のA11 Bionicである。iPhone XのFace IDやAnimojiなどを実現するために組み込まれたものだ。その後、カメラ機能などへ応用領域を広げ、Core MLというフレームワークを通じて開発者にも開放されてきた。
さらに、A19 ProとM5ファミリーでは、GPUにNeural Acceleratorsを搭載した。前述したように言語モデルのプリフィル処理を効率化するこの機能も、長い時間軸の中で、製品体験を改善するために持ち込まれたものだ。
ブルックスは「何年前からAIへの最適化を計画していたのか?」という質問には応じなかった。しかし、一般的な半導体設計のサイクルを考えれば、少なくとも数年前から現在のハードウェア構成を見据えていたと考えるのが自然だ。
今年初め、アップルとグーグルは、次世代のApple Foundation ModelsをGeminiモデルとグーグルのクラウド技術を基盤に開発する複数年の協業を発表した。生成AIを組み込んだ新しいSiriを含む、将来のApple Intelligence機能を支えることになる。


