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BAKE創業者・長沼真太郎が挑む、原材料から始める北海道ブランドづくり

長沼真太郎|北海道コンフェクトグループ代表取締役

長沼真太郎|北海道コンフェクトグループ代表取締役

BAKE創業者の長沼真太郎は、自ら牧場を運営し、原材料づくりから菓子の価値向上に挑む。目指すのは、北海道の風土を生かした新たなブランドづくりだ。 (Forbes JAPAN 2026年6月号 特集「カルチャープレナー特別版 「『源流経営』最前線」より)


「お菓子のおいしさを決めるのは、良い原材料、新鮮さ、手間のかけ方。最も影響が大きいのは原材料です」。札幌を代表する洋菓子店「きのとや」や、放牧牛乳と平飼い卵を使った「チーズワンダー」などを手がける北海道コンフェクトグループ代表の長沼真太郎はこう語る。

長沼が踏み込んだのは、その「原材料」を自らつくること。現在は、グループ内で原料生産を担うユートピアアグリカルチャーを通じて、日高牧場と札幌郊外の盤渓農場を運営し、放牧酪農に取り組む。きっかけは、「放牧のジャージー牛乳でつくるカスタードクリームは圧倒的においしい」というあるパティシエの一言。放牧牛乳を仕入れるだけでなく、「飼料を変えたら味はどうなるか」といった仮説を検証すべく、牧場経営に乗り出した。

盤渓農場では北海道大学と連携し、山地放牧が土壌に与える影響も検証。「10年単位で見れば、放牧が味にも環境にも価値をもたらすことが明らかになるはず」と、環境負荷の低減とおいしさの両立に手応えを示す。あえて濃厚飼料を使わず、牛は草や花、落ち葉、地元農家から仕入れる乾燥ロールのみで育てている。効率ではなく、土地の恵みを味に転換する設計だ。盤渓農場は「現在も赤字」だが、長沼は「その役割はますます重要になっている」と言い切る。「盤渓は利益ではなく、本当においしいものだけを求める場所と決めている。

アルプスの花を食べた牛のチーズに花の香りが宿るように、北海道の草や花を食べた牛乳には、その土地の風味が表れる。長期で見れば、それが自分たちだけの価値を生むことになる」。長沼が目指すのは、土地の生態系を生かした原料から価値を立ち上げ、それをグローバルに展開するビジネスモデルだ。「北海道は、海外から見ればアルプスのような存在かもしれません。そのイメージと実体を結びつけることができれば、お菓子の価値は何倍にもなる」。長沼の取り組みは、北海道という土地そのものをブランドへと転換する試みでもある。


ながぬま・しんたろう◎2013年、BAKEを創業し単品専門店で業界に革新をもたらす。17年に株式売却後に渡米。20年ユートピアアグリカルチャーの代表取締役に就任。22年から北海道コンフェクトグループ代表取締役を務める。

文=國府田 淳 写真=若原瑞昌 編集=松崎美和子

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