リーダーシップ

2026.06.14 11:00

良かれと思って「褒めるリーダー」が陥る罠、公の場での称賛が離職を招く理由

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こうした疑問は、とりわけ称賛が曖昧なときに生まれやすい。「顧客プロジェクトでのAさんの素晴らしい仕事」といった言葉は寛大に聞こえるが、「Aさんが具体的に何をしたのか?」「チームの他のメンバーの努力はどうなったのか?」と、周囲に考えさせてしまう。称賛が曖昧であればあるほど、抽象的になってしまう。

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この曖昧さは重要だ。詳細を欠く評価は、人材育成のためではなく「社内政治」や「お気に入りへのアピール」のように映ってしまう。人々は、称賛が貢献度ではなく、リーダーとの距離や会議での存在感、自己アピールのうまさを反映しているのだと推測するかもしれない。たとえその推測が誤りでも、「そう見えること」で信頼を損なう可能性がある。

結果として奇妙な矛盾が生じる。リーダーは士気を高めようとしているのに、ある従業員は以前より自分が軽視されていると感じ、離職を選択する。

「見えない仕事」の問題

公の場で称賛されるのは、往々にして目に見える仕事だ。プレゼンテーションや顧客獲得、危機対応、注目度の高いプロジェクトは、見えやすいから容易に認識される。しかし、組織を円滑に動かすための多くの貢献は、もっと目立たないものだ。例えば、問題が拡大する前に芽を摘む人がいて、複雑な状況にある同僚を支える人がいて、舞台裏で品質や安定、信頼を維持する人もいる。

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リーダーが意図しないうちに評価が不平等になる可能性があるのは、この点だ。称賛が公になればなるほど、すでに注目されている仕事が評価される傾向が強くなる。すると、チームの人間関係を円滑にするための配慮やサポート、オペレーションの一貫性、地道な問題解決といった仕事は十分に評価されないままになるおそれがある。

時間が経つにつれ、従業員は「どの種類の貢献が評価されるか」を学んでいく。そして、仕事を役立つものにするより、目立たせることにエネルギーを割くようになるかもしれない。評価を追い求めるようになる人もいれば、逆に、どうせこの組織は自分を正しく評価しないのだと思い、身を引く人もいる。

その意味で、公の場での称賛は組織文化を反映するだけではない。組織文化を形成していくものである。

称賛が「パフォーマンスの合図」になるとき

リーダーシップ上のリスクもある。公の場での称賛が、従業員ではなくリーダー自身のためになってしまう場合だ。リーダーが、寛大で気配りができて、人を大切にすると示すために評価を使うケースがある。それが必ずしも不誠実な行為とは限らないが、従業員はたいてい、称賛がパフォーマンス的なものかどうかを見抜く。

次ページ > 本物の称賛と見せかけの称賛の違いは、具体性にある。

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