ヒューマノイド(ヒト型)ロボットは、SFの小道具というより、次の主要な労働力技術としての現実味を帯び始めている。
何十年もの間、人間に似た形をした機械という発想は、主に映画や研究所、入念に演出された技術デモの中のものだった。しかし今、AI、センサー、バッテリー、ロボット工学の進歩によって、その発想ははるかに実用的なものへと変わりつつある。目標はシンプルだ。人間の身体に合わせて作られた世界で動き、人間用の道具を使い、建物の中を移動し、肉体的に負担が大きい作業、反復的な作業、危険な作業を担える機械を作ることである。
その結果、ヒューマノイドロボットは今後数十年で最も重要な技術の一つになる可能性がある。ある研究は、2060年までに30億台のヒューマノイドロボットが稼働し、工場、空港、店舗、病院、建設現場、家庭で働くようになる可能性があると予測している。
では、実際に何をするのだろうか。
価値の高い用途の一部は、すでに見え始めている。ほかの用途も、ロボットがより安く、より高性能になり、導入しやすくなるにつれて実現可能になるだろう。企業にとって、そのチャンスは明確だ。ヒューマノイドロボットは、人手不足への対応、生産性の向上、リスクの低減、まったく新しい顧客体験の創出に役立つ可能性がある。
以下は、ヒューマノイドロボットが最初に大きな影響を及ぼす可能性が高い10の分野だ。
1.製造・生産
BMWやシーメンスを含むメーカーは、すでに工場でヒューマノイドロボットを働かせ始めている。ただし、現時点ではまだ主に実証実験に限られているようだ。製造業はこれまでもロボットシステムをいち早く導入してきた。作業が定型的で反復的であることが多く、同時に肉体的な負担も大きいからだ。人間と安全に並んで作業できるヒューマノイドロボットは、その自然な次の段階だ。
2.小売・顧客サービス
小売分野では、ヒューマノイドロボットは顧客対応、商品の棚出し、警備、新たな来店体験を生み出す手段として活用できる可能性がある。米労働統計局によると、米国の小売業は53万1000人の人手不足に直面している。ロボットがより手頃な価格になれば、この不足を埋めるうえで重要な役割を果たす可能性がある。
3.危険な環境での作業
ロボットは、人間を送り込むには危険な場所へ行くことができる。また、人間よりも物理的な負荷に強い形で作ることができる。これには、危険な環境での点検、有害物質の取り扱いや移動、救助活動や緊急対応が含まれる。
4.ホスピタリティ、イベント
ホテル、ホスピタリティ、イベントの分野では、受付、コンシェルジュ、厨房、接客の業務にロボットが導入される例がすでに見られる。ただし、こうしたロボットは通常、特定の作業に特化している。ヒューマノイド型へ進化すれば、より汎用的になり、同じ機械が必要に応じて受付を担当したり、レストランのテーブルを片付けたりできるようになる。目新しさによって注目を集め、新しい顧客体験や観客体験を生み出せるため、人々を楽しませる存在にもなる。
5.手荷物の取り扱い
航空機への手荷物の積み下ろしは、肉体的な負担が大きく、反復的な仕事であり、まさにヒューマノイドロボットが得意とするはずの作業である。東京の羽田空港では、日本航空が、日本が現在直面している人手不足への対応として、この役割でヒューマノイドロボットの実証実験を行っている。大規模に機能することが証明されれば、空港の効率は大きく改善し、利用客の待ち時間も短縮される可能性がある。



