「異世界」からの脱出──米国と世界市場が求める日本アニメの新潮流

米ニューヨーク、2023年11月19日。ニューヨーク市のジェイコブ・ジャビッツ・センターで開催された「Anime NYC」2日目、『陰の実力者になりたくて! 2nd season』パネルに登壇し、話す中村浩史監督(Photo by Slaven Vlasic/Getty Images for AMC Networks)

米ニューヨーク、2023年11月19日。ニューヨーク市のジェイコブ・ジャビッツ・センターで開催された「Anime NYC」2日目、『陰の実力者になりたくて! 2nd season』パネルに登壇し、話す中村浩史監督(Photo by Slaven Vlasic/Getty Images for AMC Networks)

アニメ企業は、制作本数が減少に向かうなか、異世界アニメの黄金期が終わって生じた空白を埋めるため、ほかのジャンルを模索している。

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日本有数のエンタメ・コングロマリットであるKADOKAWAは、最近の決算資料で、国内出版事業が落ち込んだ要因の1つとして、ファンタジーのサブジャンルへの過度な依存を認めた。異世界とは、キャラクターが別の世界へ転移する物語を指し、文字通り「異なる世界」と訳される。異世界アニメの制作は2021年に急増し始め、同社は同年のTIFFCOMのセミナーで、このジャンルの可能性をアピールしていた。

しかし隆盛から5年が経ち、(米国)国内外の視聴者は次のステージへ進む準備ができている。

質より量のタイトル群

出版社であり、プロデューサーであり、プロモーターでもあるKADOKAWAには競争上の優位性がある。作品がマンガ化される前に、小説の書籍販売を通じて人気シリーズを容易に見極められるからだ。そのうえで、既存の各フォーマットのマーケティングを推し進め、次のメディアへ展開することで、フランチャイズのプロモーション寿命を引き延ばせる。

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小説の刊行開始から、マンガ化や脚本化に至るまで、同社は盤石なメディアモデルと、底なしともいえるコンテンツ供給源を持っていた。

だがKADOKAWAは現在、これが多様性の欠如につながり、「小説の企画減少と新ジャンルへの取り組みの縮小」を招いたと認めている。ベストセラー創出へ投資したにもかかわらず、結果は逆で、「独自性や品質に欠けるタイトルの増加」につながったという。

これはフランチャイズ・メディアミックスの頂点で起きていたことであり、下流の映画・アニメ事業にも影響が及び、売上高は前年比で5.6%減となった。本業による利益である営業利益も、国内販売の減少と「海外配信ライセンス」により低下した。つまり利益は出ているが、前期より小さかったということだ。

2025年度について同社は、その差の理由を「新たなヒットシリーズの育成を目的とした」新作アニメタイトルへの投資だと説明している。

1クールあたりの異世界アニメの本数を踏まえると、この発言は、視聴者を獲得できなかった新フランチャイズで市場が飽和状態にあることを意味している可能性がある。成功した異世界アニメの続編が制作工程に滞留する一方で、継続的なリターンを追うべく、新たな異世界フランチャイズへ投資した。その結果、ジャンル全体が薄く広がり、相対的に利益が下がったのかもしれない。

KADOKAWAのパイプラインにある「初期の成功指標」──異世界小説──が落ち込んでいることから考えれば、今後は異世界アニメが減っていくという結論が妥当だろう。とはいえ、2026年は過去4年と同程度になる見込みだ。今年は、放送・配信日の未定作品2本を含め、計33タイトルが予定されている。

「異世界」ファンタジーアニメに対するKADOKAWAの姿勢は、今年の完成作品を変えるものではないが、今後数年には影響を及ぼす可能性がある。年間少なくとも30タイトルという過飽和状態になったことで、消費者の関心は薄れてきた。

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