多くの場合、認証プレミアムは、貧困を根本的に解決するには少なすぎる。その結果、生き延びるために肥沃な土地を求めて大規模な森林伐採へ追い込まれる農家もいる。
「世代交代の課題が拡大している。カカオ農家の平均年齢は55歳を超え、多くのカカオ生産地域で、若い世代は農業を続けることに消極的だ。彼らは農業を、体力的にきつく、低賃金で魅力に欠けると考えている」とオカンポは指摘した。
若い世代の離農が進むにつれ、技能や知識、生産はいずれも時間とともに低下するリスクがある。
サステナビリティに投資でき、金銭的インセンティブの恩恵を受けられる農家であっても、プレミアムは収益の安定を保証するほどではなく、洪水や干ばつ、作物の病害が発生したときに気候変動の衝撃やリスクを軽減するものでもない。
従来型のカカオ栽培から持続可能な農法へ切り替える場合、成果が見えるまで数年を要することもある。これは、その間の生計を維持するために農家が大きなリスクを負うことを意味する。
「カカオ価格が急騰・急落すると、計画が立てにくくなり、コスト管理や店頭での製品の安定供給が難しくなる」とオカンポは語った。
こうした圧力の影響がサプライチェーンを通じて農村地域に及ぶにつれ、生産者は所得の不確実性に苦しむことになる。
同様に、トレーサビリティや認証はカカオ豆の産地確認に役立つものの、「マスバランス方式」(物質収支方式)で運用されることが多い。これは実質的に、サプライチェーン内、特に輸送や製造の段階で認証豆と非認証豆が混在することを意味する。
通常、企業はサステナブルに調達したカカオの購入量が最終製品で販売した量と一致することを保証しなければならない。しかし、個々のチョコレートバーまで追跡できるわけではなく、購入によって倫理的な慣行を支援していると考える顧客との信頼や透明性を損なう恐れがある。
世界のカカオが今適応すべきこと
国連食糧農業機関(FAO)のデータによれば、カカオの約99.9%は気候レディネス(気候変動への適応準備)が整っていない国々で生産されている。
主要なカカオ生産国で極端な気象現象がより頻繁になるにつれ、気候変動による影響に柔軟に対応できる農業システムの必要性は一段と高まっている。
その取り組みの一つとして、日陰のない単一栽培を段階的に廃し、アグロフォレストリーをより積極的に取り入れることが挙げられる。カカオの木は、より大きく果実をつける在来樹の樹冠の下に植えるべきだ。これにより、地域の生物多様性や受粉者を増やし、土壌を再生し、農地が高温に耐えやすくなる。


