ハリウッドは内部分裂状態
AI批判派も容赦がない。たとえば、A24デビュー作『Backrooms』がセンセーションとなった20歳の監督ケイン・パーソンズは、生成AIについて「すでに本当に有害な結果が起きている」と述べ、「イノベーションというより、より広範な文化的・経済的腐敗の症状だ」と断じた。ギレルモ・デル・トロはさらに率直に、AIを使うくらいなら死んだほうがましだと語った。
しかし、ハリウッドの全員がAI反対派というわけではない。5月のカンヌ国際映画祭でデミ・ムーアは、ハリウッドはAIを受け入れるべきだと訴えた。「AIはすでにここにある」と彼女は語った。「だから戦うというのは、私たちが負ける戦いをするということだ」。リース・ウィザースプーンは、インスタグラムの投稿で、3000万人のフォロワーにAIについて学び、使うよう促した。スティーブン・ソダーバーグはすでに映画制作でAIを使用しており、ピーター・ジャクソンはAIを「他のツールと同じ道具」と表現している。
アーティストたちがスコセッシに反発
スコセッシの発表には批判が相次いだ。現在映画『I Love Boosters』を手がけたブーツ・ライリーは、鋭く反論し、手描きのラフな絵コンテを自身のSNSに投稿した。人間のスケッチは初期の計画プロセスには十分であり、その後に人間のアーティストが初稿を洗練させていけばよいという趣旨である。アニメーション監督のサミュエル・ディーツはこう書いた。「……数百万人のアーティストから盗んだ作品で構築されたAIを、ビジョンの絵コンテ作成に使う必要などまったくない。プライドを持て、仲間をリスペクトしろ」。
これらの反応を理解するには背景を知る必要がある。絵コンテアーティストは、誰かのビジョンを単に実行するだけではない。『グラディエーター』をはじめとする作品でリドリー・スコットと長年仕事をしてきたシルヴァン・デプレは、その仕事を脚本執筆の一形態だと述べ、「絵コンテは監督と同じくらい重要だ」と指摘した。
コーエン兄弟は『赤ちゃん泥棒』以来、同じ絵コンテアーティストのJ・トッド・アンダーソンを起用している。アンダーソンは絵コンテ制作を人間同士のコラボレーションと表現する。「私は彼らの頭の中に入り込み、何を考えているかを理解しようとし、それを紙に描く」。これは信頼に基づくプロセスであり、どんなプロンプトでも再現できるものではない。
さらに言えば、この反発は、AIがすでにエンターテインメント業界のビジュアルアーティストの生計を脅かしている現状にも向けられている。「AIから安全」とされるハリウッドの仕事の数は、ますます減っているように見える。


