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2026.06.08 16:00

FIFAワールドカップは暑さに勝てるのか?──迫る「4つの課題」

映画『エリン・ブロコビッチ』。主演はジュリア・ロバーツ。Photo By Getty Images

映画『エリン・ブロコビッチ』。主演はジュリア・ロバーツ。Photo By Getty Images

FIFAワールドカップの開幕まであとわずかだ。世界最大のスポーツの祭典は、サッカー競技そのもの、開催都市への経済効果、そして国の威信をかけた戦いとして注目を集める。私は大気科学者としての視点からこの大会を見守っている。

これまで、アジア・欧州・米国の各地で、5月以降前例のない暑さに見舞われてきた。例えば全仏オープンの第1週で選手たちは暑さに苦しみ、米国の一部地域では例年の初日より数週間も早く気温が摂氏約32度(華氏90度)に達した。私の視点から見ると、FIFAとワールドカップの試合は現在、そして将来にわたって4つの大きな暑熱課題に直面している。

選手への暑さの影響、北米17会場を調べた研究

ワールドカップにおける暑さの影響で最も分かりやすいのは、選手だろう。2025年に学術誌International Journal of Biometeorologyに発表された研究では、北米の17カ所のFIFAワールドカップ開催地における潜在的な暑熱リスクが検証された。研究者が調べたのは「湿球黒球温度(WBGT)」と呼ばれる指標だ。これは何か。

湿球黒球温度(WBGT)・暑さ指数──直射日光下での暑熱ストレスを測定する指標

米海洋大気庁(NOAA)によると、「湿球黒球温度(WBGT)は、直射日光下での暑熱ストレスを測定する指標であり、気温、湿度、風速、太陽高度、雲量(日射量)を考慮したものである」という(編注:日本の環境省は、WBGTを「暑さ指数」と呼んでいる。WBGTが基準値を超えると、環境省熱中症予防情報サイトにより熱中症特別警戒アラート[熱中症特別警戒情報]などが発せられる)。

専門家は、WBGTは気温と湿度から体感温度を算出する一般的な暑さ指数(heat index)よりも、暑熱の影響評価に優れていると考えている。「直射日光の下で作業や運動を行う場合、これは監視すべき重要な要素である。軍事機関、労働安全衛生局(OSHA)、および多くの国が、直射日光下での作業負荷管理の指針としてWBGTを使用している」とNOAAのウェブサイトには記されている。

WBGTは暑熱リスクの評価により適しているとはいえ、22や27といった数値を見て実際の気温と混同してしまう人がいることを私は常に懸念している。WBGTへの移行に際しては、一般市民だけでなく意思決定者にも理解を促すための啓発活動が必要となるだろう。このページの表は、米国の各地域における閾値レベルを示している。

16会場中14会場でWBGTが常態的に28を超える

2025年の研究では、16カ所中14カ所で、平均的な「暑い」年の午後の時間帯にWBGTが28を常態的に超えることが判明した。そのうち9カ所では、50%以上の頻度でこの重要な閾値を超えていた。

研究によると、6月と7月に閾値を最も頻繁に超えた都市はマイアミ、ダラス、ヒューストンだった。メキシコのモンテレイ、カンザスシティ、アトランタ、フィラデルフィア、ニューヨーク、ボストンが第2グループに位置づけられる。シアトル、グアダラハラ、サンフランシスコ、ロサンゼルス、トロントもこの閾値を超え得るが、頻度は低い。メキシコシティは研究期間中、閾値を超えることはなかった。

World Weather Attribution(WWA)の解説によると、「世界選手組合(FIFPRO)のガイダンスでは、湿球黒球温度(WBGT)が26以上に達すると暑熱ストレスが現実のリスクとなるため、試合にはクーリングブレイクを設けなければならないとしている」という。「WBGTが28以上になると、プレーには危険な状態と見なされ、延期が推奨される」と続けている。

WWAが最近発表した研究では、2026年FIFAワールドカップの試合が危険なWBGT閾値を超える可能性が、1994年に米国で開催された大会時と比べて大幅に高まっていることが判明した。さらに懸念されるのは、アトランタ、カンザスシティ、ヒューストン、ダラス、ボストン、フィラデルフィアでは、WBGTが32という閾値を時折突破する可能性があることだ。これらの会場の多くでは、午前遅くから午後早い時間帯にその水準に達することがある。

16会場中11会場が屋外、FIFAは給水休憩などで備える

16カ所のうち11カ所は屋外スタジアムだ。ニュージャージー、マイアミ、フィラデルフィア、ボストン、サンタクララ、カンザスシティ、シアトル、トロント、メキシコシティ、モンテレイ、グアダラハラがこれに該当する。残りの5カ所は屋内型か開閉式屋根を備えている。

「国際サッカーの統括団体であるFIFAの広報担当者は、『FIFAは選手、審判、ファン、ボランティア、スタッフの健康と安全を守ることに尽力している』と述べた」と、NPRのレベッカ・ハーシャーとラフル・ムカジーが報じている。FIFAは記者へのメールで、スケジュール調整、追加の給水休憩、ベンチサイドへの空調設備など、多くの緊急対策が整備されていると説明した。

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