「固定翼によって揚力を生み出せば、FPVドローンのモーターは推進力を与えることに集中できるので、バッテリー効率と航続距離が大幅に向上します」とガーディナーは説明する。「必要時に固定翼を切り離せる能力も重要です。そうすることで、攻撃の最終段階に向けてFPVドローン本来の優れた機動性を取り戻せます。つまり、(固定翼ドローンと回転翼ドローンの)両方の長所を兼ね備えられるのです」
ガーディナーによると、この固定翼キットは大規模に生産されるようになった場合、既存のFPVドローンに追加でかかるコストは25ドル(約4000円)程度にすぎず、装着することによるマイナスの影響も軽微だという。
「このFPVドローンの操縦は最初は手間取るかもしれませんが、経験豊富な操縦士であればすぐに使いこなせるようになります」とガーディナーは言う。「標準的なフライトコントローラー(飛行制御装置)のファームウェア設定も、この特殊な構成の操縦特性を改善するよう簡単に調整できます」
「低コストの固定翼機と比べた場合、最大のメリットは、広く手に入る格安の標準的なFPVドローンを活用できる点です」とガーディナーは述べている。「これまで試されてこなかったのが不思議なくらいです」
当然のことながら、固定翼を追加してFPVドローンの航続距離を伸ばす試みはロシア側もやっている。「KVS(スビャトスラフの子ウラジーミル公)」と呼ばれるロシア設計のドローンは追加翼として、取り外し不可能なリング翼を採用している。これは複葉機の翼と似た効果を、より単純な設計で生み出す仕組みだ。KVSは前進飛行時に90度回転し、この輪っか状の翼から揚力を得る。ロシア側の主張によれば、この固定翼の効果で航続距離はおよそ3倍に伸び、50kmに達するという。
More information on the Russian ring-wing FPV, including a larger version apparently intended as an interceptor.
— Roy🇨🇦 (@GrandpaRoy2) March 28, 2026
They claim that the addition of the closed wing has tripled the range of an FPV to 50 km.
The drones take off vertically and then transition to horizontal flight. https://t.co/j5lemkrON5 pic.twitter.com/yFzjX7mgcy
ロシア製のこのリング翼付きFPVドローン関しては、すでに実戦で使用されていることもわかっている。4月、ウクライナ軍の迎撃ドローンが撃墜したドローンのなかにその一機が含まれていたことが、その際の映像で確認されている。
A strange Russian drone shot down in Ukraine has revealed a blast from the past👀
— BFBS Forces News (@ForcesNews) April 10, 2026
The 1980s 'ring-wing' design is back, boosting range and firepower in modern warfare
How old tech is reshaping today's battlefield🔗https://t.co/XphJR1m5RW pic.twitter.com/huOSAqRiXY
射程100kmは始まりにすぎない
ウクライナ軍はここへきてロシア軍後方の補給線に対する攻撃を増やしており、中距離攻撃がこの戦争でにわかに重要な要素になっている。こうした攻撃はこれまで、米国から供給されている1機5000ドル(約80万円)超の固定翼型Hornet(ホーネット)ドローンによって主に遂行されてきた。ただ、その効果は入手可能なホーネットの数に制約されている。
固定翼キットを付加すれば、低コストのFPVドローンも後方地域へ到達できるようになり、その数は膨大になる可能性がある。その実装が進むと、中距離攻撃はごく短期間のうちにはるかに大規模なものになるだろう。


