欧州

2026.06.08 10:00

100km超飛ぶ謎のFPVクワッドコプターをウクライナが投入 中距離攻撃「大群」化の可能性

機体上部に固定翼を追加したウクライナのクワッドコプター型FPVドローン(Xで共有された動画から)

ドローン愛好家の世界では、かねて似たような設計が知られていた。とくに有名なのは、エンジニアのペーター・リュゼック(ピーター・ライセック)が開発した「Mini Qbit(ミニ・キュービット)」と呼ばれるプロダクトだ。これもクワッドコプターに固定翼を追加して、揚力、速度、航続時間を向上させている。リュゼックは米メリーランド大学での研究活動の一環でこの機体を開発し、キットを市販した。その後は別のプロジェクトへ移っている。彼の説明では、Mini Qbitはこの翼によって「標準的なクワッドコプターよりも航続時間が30~50%向上」しているという。米陸軍も同様の技術を検討したことはあるが、実際の開発には至らなかったようだ。

advertisement

弾頭を搭載したFPVドローンのように、重量物を運ぶクワッドコプターの場合、こうした固定翼の付加によって一段と大きな性能向上が見込めるかもしれない。ウクライナ版はどうやら固定翼を切り離す機構も備えているらしい。この仕組みにより、ドローンは目標地域に到達したあとは固定翼を捨て、純粋なFPVクワッドコプターとして行動することが可能になる。

ウィングオーバーコプター型と異なる別のウクライナ製固定翼付きFPVマルチコプターは、すでに戦闘に投入されている。4月、ロシア軍の迎撃ドローンに撃墜された際に撮影されたとみられる画像が共有された。これは、新技術はすでに小規模に使われ始めているというステルネンコの主張とも符合する。

advertisement

ステルネンコは5月27日、「ウクライナのFPVドローンはすでに50~70km、あるいはそれ以上の距離を容易に飛行できるようになっています。ロシアにとってのキルゾーン(撃破地帯)は拡大しています」とXでコメントしている

以前は、FPVクワッドコプターがこれほどの距離に到達するにはドローン母機が必要だった。これも、ステルネンコが資金調達を行ってきたウクライナのイノベーションのひとつである。しかし、今回は「母機を使わずに」だったという点を彼は強調している。

固定翼付きクワッドコプターの技術開発競争

固定翼を追加したFPVマルチコプターがうまく機能することを示す証拠は、同様のプロジェクトに取り組むウクライナの別のグループからも得られる。元カナダ軍将校で現在はOSINT(オープンソース・インテリジェンス)アナリストとして活動するロイ・ガーディナー(“Roy”)は、自身の関わる国際的なウクライナ向け防衛技術支援グループ、ディフェンス・テック・フォー・ユークレインもこのタイプの機種を開発し、間もなく試験を受ける予定だと明かしている。

次ページ > ロシアは「リングウィング」型有翼クワッドコプターを投入

翻訳・編集=江戸伸禎

タグ:

連載

Updates:ウクライナ情勢

advertisement

ForbesBrandVoice

人気記事