欧州

2026.06.08 10:00

100km超飛ぶ謎のFPVクワッドコプターをウクライナが投入 中距離攻撃「大群」化の可能性

機体上部に固定翼を追加したウクライナのクワッドコプター型FPVドローン(Xで共有された動画から)

クワッドコプター型FPVドローンの実際の運用範囲としては、20kmぐらいが限界とみられていた。それ以上離れた目標を攻撃するために双方配備したドローンは、固定翼タイプだった。それにはウクライナのDARTS(ダーツ)やロシアのモルニヤなど、さまざまな機種がある。これらの固定翼ドローンはクワッドコプターに比べ2倍以上の射程をもつ半面、コストも高く、操縦も難しい。また、ウクライナ国家親衛隊のタイフーンドローン部隊の指揮官、コールサイン“マイクル”が言うように、固定翼ドローンにはハチドリのような機敏さはない。

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「マルチコプターの操縦士は簡単に機体を停止させてホバリングできますが、固定翼機の操縦士はエネルギー状態を常に先読みする必要があります」とマイクルは筆者に述べた。「運動量や高度、対気速度といったものを、相互に関連した変数として扱えるようになる必要があります。(中略)いったん攻撃のための接近を開始すれば、躊躇する余地は少ない」

クワッドコプター型FPVドローンは、たとえば格納庫の内部に飛び込み、そこに隠されているロシア軍の兵員輸送車を見つけ出し、打撃を加えるといった複雑な機動を行うことができる。これは固定翼機ではまず不可能だ。理想的なFPVドローンとは、固定翼機の長射程とマルチコプターの機動性を兼ね備えたものだろう。

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ステルネンコの最新プロジェクトは、それを実現したのかもしれない。

翼を得たクワッドコプター

4月初め、ステルネンコはXでこう明らかにしていた。「わたしたちはウクライナの複数のメーカーと協力して、FPVドローンの分野で画期的な新技術を開発しました。これはわたしたちの軍に対して、大いに必要とされている優位性をもたらすことになるでしょう」

ステルネンコによれば、この技術はすでに小規模ながら実戦投入されている。ウクライナ国防省は量産体制の構築に向けたプロセスを開始しているが、それには時間がかかるため、ステルネンコの基金は独自に生産拡大に取り組んでいるという。彼はこの秘密プロジェクトのための資金調達キャンペーンを立ち上げ、ドローン3600機超などを購入するために1億フリブニャ(約3億6000万円、約230万ドル)を募っている。単純計算すると1機あたりざっと640ドル(約10万円)ということになる。ステルネンコがふだん調達している標準的なFPVドローンは1機500ドルほどなので、上乗せコストはそれほど大きくない。

これに先だち、ウクライナの開発者たちは「ウィングオーバーコプター」型と呼ばれるドローンを公開していた。これはFPVクワッドコプターの回転翼を覆うように、機体上部に固定翼を取り付けた設計になっている。固定翼によって揚力が追加され、航続距離が伸びる。

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翻訳・編集=江戸伸禎

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