私はシニアリーダーたちが熱っぽく、「グーグルみたいになればいいだけだ!」──あるいはNetflix、Amazon、Appleのように──と語るのをよく耳にする。
称賛に値する志ではあるが、結局のところ実りのない試みである。「完璧な」カルチャーなど存在しない。市場も歴史もビジネスを動かす要因も固有の、まったく別の組織のカルチャーの枠組みを、そのまま自社に重ね合わせることはできない。率直に言えば、魚にズボンをはかせるような、現実離れした話だ。
完璧のコピーを探し回るのではなく、賢明なリーダーは、成功企業が見事にマネジメントしている根本的な相互作用に目を向ける。彼らが目指すのはハイパフォーマンス・カルチャー(High Performance Culture:HPC)だ。卓越した業務成果と、ポジティブでインクルーシブな職場環境とを天秤にかける、繊細なバランスの妙だ。
天秤がどちらかに傾きすぎると、意図せぬダメージが生じる。例えばWeWorkは、組織のカルチャー体験を最大化することに注力しすぎた一方で、商業的な規律や数字の達成に対する意識が著しく欠如していたと広く報じられている。
過去15年にわたり、成功するグローバルカルチャーの形成に携わるなかで、私はこのバランスの実現は3つの基本概念から始まることを観察してきた。これらは一体となって「火の三角形(燃焼の3要素)」をつくり、1つでも欠ければ他の要素は機能しない。
1. 整合(Alignment)
カルチャーが機能するのは、全員が組織の志を理解しているときだけだ。整合は、各人が仕事をどのように遂行するのかを正確に把握し、それを実現するうえで自分が担う役割を理解することを保証する。人は、望まれる業務成果と、そこに至るために必要な共有カルチャーの双方に意識を合わせていなければならない。
2. オーナーシップ(Ownership)
整合には、権限委譲が伴わなければならない。オーナーシップとは、人々が課題に立ち向かい、全責任を引き受け、行動する権限を与えられていると感じている状態を意味する。重要なのは、これらの行動が組織の目的に資すると同時に、全員が共有する文化的規範に沿っていることである。
3. エネルギー(Energy)
最後に、組織には適切なスピードとボリュームが必要だ。エネルギーとは進歩を駆動する現状に満足しない前向きな姿勢である。うまくやり遂げたいという欲求であり、行動が共有された意図と矛盾して進むときに、人々が発言し、異議を唱え、押し返すことを可能にする重要な燃料でもある。



