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2026.06.07 12:00

クアルコムが狙うAI推論市場の覇権、エヌビディアを超える省電力性能

Dmitry - stock.adobe.com

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Qualcomm(クアルコム)はモバイルコンピューティングにおける中核的なプレーヤーだ。同社のチップセットと携帯通信モデムは、世界中の数十億台のスマートフォンを支える基盤であり、ライセンシング部門は重要な無線特許を生かして、予測可能性の高い高マージンのキャッシュフローを生み出している。この信頼できる財務基盤によって同社は、財務の安定性を損なうことなく、自動車、バーチャルリアリティ(仮想現実)機器、AI対応PCなどを含む巨大な新たな成長領域に資金を投じるという、独自の能力を得ている。

とはいえ、近年のコンピューティングにおける最大の成長ポテンシャルの多くは、クアルコムの手をすり抜けてきた。それはAIインフラだ。この状況は、変わり始めているのかもしれない。

最近の半導体セクターの成長の多くは、人工知能の急速な導入に後押しされたデータセンターから生じている。GPUがAI学習(トレーニング)を主に支配している一方で、AI支出の増加分は推論(inference:学習済みモデルを実運用環境で実行する工程)へと移りつつある。この移行は見た目以上に大きい。

推論は2029年までにAIコンピューティングの3分の2を占め、AIシステムの生涯コスト全体の80〜90%に相当すると見込まれている。タスクを実行し、ソフトウェアとやり取りし、独立して意思決定を行う自律型AIシステムは、効果的な推論ハードウェアへの需要をさらに押し上げる可能性がある。

この変化は、クアルコムの強みとよく合致している。

クアルコムが優位に立ち得る理由

AIコンピューティング需要と電力供給の乖離は拡大している。大規模なAIデータセンターの建設には12〜24カ月を要し、米国の主要市場で大容量の系統連系(グリッド接続)を確保するには36〜84カ月かかる。現在、米国の系統連系キュー(送電網への接続待ち容量)は2600GWを超えている。2026年に見込まれる米国のAIデータセンター容量12GWのうち、建設中なのはわずか5GWにとどまり、残りの大部分は計画の遅延に直面している。電力の利用可能性は、AIインフラ拡大の制約要因としてますます大きくなっている。

エネルギー効率は常にクアルコムの事業の根幹だ。スマートフォンは厳格なバッテリーおよび熱の制約下で動作するため、同社は消費電力あたりの処理性能(ワット当たりの性能)を最適化せざるを得ない。この能力は、電力コストと電力制約が重要な設計要件となるAIインフラにおいて、いまや不可欠だ。

Nuvia(ヌビア)の買収により、クアルコムは高く評価されるCPU設計チームと独自のOryonアーキテクチャを獲得した。Oryonは同社の最新AI PCに実装されており、より大規模なインフラ用途に向けても改良が進められている。演算ユニット、メモリアクセス、専用AI機能を1つのチップに統合するこの知見は、ボトルネックを最小化し、ワークロードが複雑化するほど性能を高めるのに役立つ。

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