近年、多くの企業で導入が進む生成AI。若手社員を中心に活用が広がるイメージを持たれがちだが、日本企業の組織内においては、全く異なる実態が浮かび上がっている。業務の効率化や意思決定の迅速化を迫られる層が、率先してこの新技術を実務に取り入れている状況だ。しかし、利用の深化に伴い、組織内の活用格差や、運用における新たなリスクといった課題も顕在化し始めている。
「ドヤマーケ」を運営するスリスタが実施した「企業の生成AI活用実態調査2026」によると、役職別のAI業務利用率において最も高かったのが課長クラスで67.3%に達している。次いで主任クラスが57.9%、経営層が56.2%、部長クラスが55.9%と続き、いずれも半数を超えている。一方で、最も低い利用率となったのが一般社員の25.4%である。「下より上が使う」という逆ピラミッド構造の逆転現象が起きているのだ。

これは、業務改善の意思決定権を持ち、かつ実務量も多い中間管理職層が主導してAIを現場に実装しているようだ。一般社員の間で活用が広がらない背景には、「使い方が分からない」「利用の許可がない」「日々の業務に必要性を感じない」といった壁が存在していると考えられる。
さらに、業界×役職のクロス分析では、最も活用が進んでいる「IT・ソフトウェア・通信」の管理職が94.1%に上るのに対し、「不動産・建設」の一般社員はわずか9.1%にとどまっている。その差は10.3倍にまで拡大しており、同じ国内の会社員でありながらも、所属する業界や役職によってAIに触れる機会に二重格差が生じているのが現状だ。



