欧州

2026.06.05 07:00

ウクライナの無人機攻勢、ロシアの迎撃ドローン「ヨールカ」は対抗できるか

手持ち式発射機から迎撃ドローン「ヨールカ」を発射するため構えるロシア兵。ロシア国防省が通信アプリ「テレグラム」に投稿した動画から

発射後は、ヨールカ本体に搭載されているオンボードコンピューターが光学カメラを用いて、目標の輪郭を追跡する。目標との距離を詰めていくと、追跡システムは赤外線カメラに切り替わり、敵ドローンのエンジンやバッテリー、電動モーターといった発熱部位を捕捉してロックオン(追尾開始)する。そのまま高速で目標に体当たりし、それを破壊する。これは、ウクライナの迎撃ドローンの多くが爆発性弾頭を用いて目標を破壊するのと異なる点である。

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ヨールカの設計や迎撃方式には実用的な利点がいくつかある。まず、爆発性弾頭を持たないため、生産コストを抑えられ、輸送もしやすい。また、ランチャーへのセットや発射時の運用者へのリスクも低減される。

撃ち放し式の誘導システムにより、運用者の生存率はさらに向上する。発射後、即座に移動したり掩蔽(えんぺい)部に身を隠したりできるからである。ウクライナの迎撃ドローンには、交戦中、FPVドローンの場合のように継続的な操縦を必要とするものもあるようである。この場合、操縦士が危険にさらされる時間はもっと長くなる。

こうした利点があるにもかかわらず、ヨールカの使用は限られている。

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運動エネルギー型撃墜のメリットとデメリット

ヨールカは従来の防衛調達プロセスをたどらず、市販のAI(人工知能)技術や画像処理技術を活用して迅速に開発されたとみられる。こうした開発方法により、ロシアはおそらくこのシステムを短期間かつ比較的低コストで配備できた半面、安全上などの理由から設計面で重要な制約を課せられたようである。

なかでも注目されるのは、上に触れたように、ヨールカは爆発性弾頭を搭載せず、目標を破壊するのにもっぱら運動エネルギーに頼るという点である。この方式では、自律飛行システムが不具合を起こした場合に、事故や巻き添え被害が発生するリスクが低減される。また、爆発物を搭載しない兵器の場合、試験や運用者の資格認定、戦時下での承認も簡素化できるだろう。

だが、こうした運動エネルギー撃破方式には本質的な困難も伴う。ヨールカは高速で敏捷な目標に対して、自らも高速で飛行して直撃する必要があるからである。ウクライナの迎撃ドローンの多くは爆発性弾頭を搭載しており、目標に直接衝突せずとも、近接して爆発し、その爆風・破片効果で破壊できる。それに対してヨールカは、目標を運動エネルギーだけで破壊しなくてはならないため、はるかに高い命中精度が求められる。

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翻訳・編集=江戸伸禎

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