キャリア

2026.06.06 11:00

AIを導入した企業で未経験者の採用が8割減少している理由

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AI前提の職務の再設計による影響

この変化は単に雇用数にとどまらない。AIを導入している企業では生成AIの影響を最も受けやすい業務がエントリーレベルの求人から明確に削除されつつある。

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大規模言語モデルとの実際のやり取りを業務別に分類したAnthropic Economic Index(アンソロピック・エコノミック・インデックス)のデータでは、エントリーレベルの職においては業務の50%超をAIが完全に代替していることが分かった。ベテランが担う職ではその割合は40%に低下する。

従来、エントリーレベルの特徴だった業務は単に自動化されているだけではない。職務記述書から完全に消えつつある。

企業は失われた仕事を補うためにエントリーレベルの労働者をより複雑な業務を担うポジションに転換できていると考えるかもしれない。ホセイニとリヒティンガーはまさにその点を調べたが、その証拠は見つからなかった。AIが定型業務を引き受ける中で、企業はエントリーレベルの労働者に高度な仕事を任せてはいない。単にその職務を廃止しているのだ。

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人材育成パイプラインの弱体化

エントリーレベルの仕事は単にポストを埋めるためのものではない。企業が将来必要とするベテラン人材を育てるためのものでもある。企業がエントリーレベルの労働者の採用をやめれば、将来経験豊富な人材を生み出すパイプラインが弱体化する。

一部の企業はこのリスクを認識している兆候も見られる。SAPとWakefield Research(ウェイクフィールド・リサーチ)による調査では、人事責任者の88%がAIによって若手人材が即戦力となるスピードが速くなっていると回答した。エントリーレベルの職を廃止するのではなく、AIを軸に再設計すべきだという主張だ。エントリーレベルの人材を採用し、AIツールを活用しながら育成する方法を確立した企業は今後、単に採用をやめる企業に対して大きな優位性を持つ。

エントリーレベルの採用が示す人材戦略

エントリーレベル人材の採用は新卒者の真っ当な扱いを意味するだけではない。組織の継続性に関わる問題だ。ベテラン人材は突然現れるのではない。企業が今削減しつつあるエントリーレベルの職務を通じて育成される。そしてキャリア初期に培われたスキルはAIでは容易に再現できない形で時間とともに積み上がっていく。

タイミングによってリスクはさらに増大する。現在、人員削減している企業のそうした判断は、AIツールがまだ発展途上にあり期待している自動化の効果が完全には現れていない中でのものだ。初期の証拠が正しければ、その代償はキャリアを築く機会を得られなかった労働者と、後になって経験豊富な人材不足に直面する組織の双方に降りかかる。

ホセイニとリヒティンガーは自分たちの結論を誇張しないよう慎重な姿勢を取っている。研究の対象となったデータは比較的短期間のものであり、企業による人材育成方法の長期的な調整によって状況は変わる可能性もある。だが初期段階の兆候は無視できない。ホセイニとリヒティンガーは、生成AIの導入によって「業務がエントリーレベルのタスクからシフトし、社内のキャリアラダーの出発点が狭まる可能性がある」と書いている。エントリーレベルの採用を任意のものと考えている企業にとって、それは後回しにせずに今対処すべきリスクだ。

forbes.com 原文

翻訳=溝口慈子

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