将来のAI効果を見込んでの採用減
エントリーレベルの採用が8割減ったのは、自動化がすでにそうした労働者に取って代わっていたからではない。企業が将来的にそうなると予想していたからだ。
研究者らによると、2022年末のChatGPT公開後、米国企業の決算説明会でのAIへの言及は2023年半ばまでに3倍に増えた。企業はすでに自動化が到来したからではなく、将来自動化されると見越してほぼ即座にエントリーレベルの採用を縮小し始めた。
この減少は主に採用ペースの鈍化によるものであり、解雇の増加によるものではない。AIを導入した企業ではエントリーレベルの労働者の離職率は低下し、退職者のポジションは補充されなかった。もし企業がAIによるエントリーレベルの業務の自動化のスピードを過大評価しているなら、こうした採用削減の一部は結果的に時期尚早だったことになるかもしれない。
採用は経験豊富な人材へとシフト
AIを導入している企業では、エントリーレベルの採用が縮小していた間もベテランの雇用は増え続けていた。そうした企業では生成AIの影響を最も受けやすい職種のエントリーレベルの労働者は、生成AIの影響が少ない職種の労働者と比べて相対的に7%減少した。一方で、同じ職種のベテラン労働者には同程度の減少は見られなかった。
米スタンフォード大学によるADPの給与データの分析では、2022年末以降、AIの影響を最も受ける職種において、キャリア初期の労働者の雇用が相対的に16%減少したことが明らかになった。この減少傾向はソフトウェア開発とカスタマーサービスで特に顕著だった。この2つの分野は従来、多くのエントリーレベルの労働者を受け入れ、ホワイトカラーのキャリアへの確かな入口だった。
この傾向は企業の経験評価における広範な変化を反映している。生成AIはベテラン労働者の生産性を高める一方で、エントリーレベルの労働者が通常担う定型業務の必要性を低下させている。企業は単にエントリーレベルの採用を減らしているのではない。経験豊富な人材に需要を集中させている。


